目黒区美術館の丸山直文展

 目黒区美術館で丸山直文展「後ろの正面」が開催されている(11月9日まで)。丸山は1964年生まれ、Bゼミ出身で、1990年頃から綿布にアクリル絵具を染み込ませるステイニングという技法を使って抽象絵画を描き注目された。ところが90年代半ば突然絵を変えてしまう。ステイニングの技法はそのままで抽象から具象に変わったのだ。その最初の個展を佐谷画廊で見たときは驚いた。染み込ませの方法で風景や植物、子供などを描いているので、ものすごく下手な絵になっているのだ。それが徐々に慣れていってだいぶ上手になってきた。それでも下手な稚拙な絵には変わりない。何しろ「染み込ませ」で描いているのだ。
 染み込ませの技法はポロックあたりから始まっているらしいが、何と言っても有名なのはモーリス・ルイス(現在川村美術館で個展開催中)で、丸山もルイスから大きな影響を受けている。初期の丸山の抽象はモーリス・ルイスを連想させる。それで具象に変わったのだろうか? 分からない。
 今回目黒区美術館での個展ということで、丸山の評価が高いことが分かる。海外でも高く評価されているようだが、まさかアール・ブリュットの画家と思われているのではあるまい。