優れた職人芸 瀬戸照展

 瀬戸照(せとあきら)展「スケッチと細密画展ーー雑誌コヨーテの原画からーー」が銀座の福原画廊で開かれている(10月1日まで)。
 瀬戸照はファインアートではなくイラストレーターで、出版や広告の世界で仕事をしてきた。博物学的な絵が中心で、果物、野菜、石っころなどを極めて正確に細密に描いてきた。細い面相筆で点描のように描いている。画廊でもそれを見てもらいたいとルーペがおいてある。


 タイトルにあるように雑誌「コヨーテ」の挿絵に使われた原画や、いつもの果物の絵が展示されている。ここに紹介した1点は「乾燥したブドウ」12 x 7cm、もう1点が「渋柿」10 x 8cm、瀬戸の作品はいつも小さい。
 瀬戸は1951年生まれ、美学校細密画工房で立石鐵臣に学んだ。フレーベル館から「とまと」「たんぽぽ」「さといも」などの絵本を出版し、河出書房新社から「不思議な石の話」を種村季弘の文、瀬戸の絵で発行している。そうか、それで瀬戸は銀座のスパンアートギャラリーで個展をしていたのか。スパンアートは種村の息子さんが経営しているのだ。
 私も2,3度瀬戸に広告の仕事を頼んだことがあったが、いつも成立しなかった。細密な仕事なので瀬戸は筆が遅いのだ。広告の仕事は〆切が早いから。そこへいくとスーパーリアルで売っていた斎藤雅緒はエアブラシで描いていて、どんな仕事も3日でできると豪語していた。
 瀬戸の仕事は本当に見事だ。優れた職人芸、細密絵師だ。それは原画でこそ分かるものだ。福原画廊では2年ぶりの個展だという。

福原画廊
東京都中央区銀座7-5-15 銀座蒲田ビル2F
電話03-3289-1710
http://g-fuku.voce.gr.jp/