芸術とは何か

 ギャラリーアポロが発行するAPOLLOMEDIATEの9月号に、ギャラリーオーナーの秋山修さんが「芸術とは何か」と題して面白いことを書いている。
 「芸術とは人間が表現したもので、永遠に感動を与えるもの」だという。いま作られている作品には永遠に残るものと、やがて忘れられていつしかゴミになってしまうものと、この二種類のものしかない。秋山さんは、永遠に残るものが芸術で、残らないものは芸術ではないと極論する。そして、印象派ゴッホも登場したときには誰からも評価されなかったと書いて、大胆なことを主張する。

 ただ今までの美術の歴史の中で、古典として残ってきた作品を見てみると、共通する点が一つだけあります。それはその作品ができる以前に、その作品と同じものはなかったということなんです。つまりその作品はそれまでになかった表現における新しい世界観を確立していると、こういうことになると思うんです。別の言い方をすると、その作品によって、見る人達はそれまで全く知らなかった世界を知ることができたとも言えます。アーティスト(芸術家)と呼ばれる人は誰も知らない世界を自分の力で創造できる人だということになります。
 そうすると、こういうことを言えるんじゃないかと思うんです。その作品をパッと見て、「あっ、いいな」と思ったら、その作品は全部だめだということなんです。何かおかしい様に聞こえますが、こういうことなんです。いいなと思った瞬間は見る人の心とその作品が発している表現の内容が呼応していることになります。見ている人は理解できるから、いいなと思う訳です。つまり見る人は過去にその作品の内容を心で経験していることになります。だから、その作品は古いということになるんです。古い内容は過去の物なんだから、その作品には新しい世界観の創造性はないと言うことになるんです。

「その作品をパッと見て、「あっ、いいな」と思ったら、その作品は全部だめなんだ!」 極論には違いないが、一抹とは言わない、三抹くらいの真実が含まれていることは否めない。