最近の美大事情

 東京の2つの美大の先生の話を聞いた。男子学生と女子学生の割合がどちらも1:2だという。男子学生が3分の1しかいない。それで一つの美大はこれ以上男子学生が減らないよう受験の際男子学生の点数をかさ上げしているそうだ。しかしまた、昔から変わらないのは成績の一番良いのと一番悪いのが男子学生だということ。女子学生は真面目で手堅いと言っていた。
 山形市に東北工科芸術大学という私立美大がある。1991年設立の新しい大学だ。もう10年以上前になるが、そこの先生の講演を聴いたことがある。テレビでも何度か見かけた人だ。うちの大学の学生は東京の美大を何度も受験して受からなかった者か地元出身のやる気のない者ばかりですと発言していて驚いた。先生がこんなことを言っていいのだろうか。
 ところが最近の東北工科芸術大学の水準はすばらしい。銀座の画廊を回っているとそう感じるのだ。ここ2,3年この大学出身の何人もの優れた画家たちの個展を見たのだ。聞いてみると何年か前にカリキュラムの見直しがあり、先生たちの意欲も高いと言う。
 しばらく前になるが京橋の画廊の前に貼り紙がしてあって、「5美大関係者にのみ画廊を貸します」とあってのけ反りそうになった。5美大というのはどこなのか? 東京芸大、武蔵野美大多摩美大、造形大、もう1校は女子美日大芸術学部か。何ともまあ時代錯誤なことよ。