芸術院会員になるのは大変だ

 島根県にある彫刻家内藤伸の家へ東京からはるばる画家東郷青児が訪ねてきて、現金の入った菓子折を置いていった話は前に書いた。「彫刻家内藤伸」(id:mmpolo:20061109)。
 日本芸術院会員は定員制で、会員が亡くならないと補充はない。新しい会員は現会員の推薦により選ばれる。それで会員が亡くなると候補者たちは現金を持って走り回ることになるらしい。
 そのことを彫刻家TWさんに話すと、おそらく1,000万円くらいの現金を届けて歩くのだろうという。芸術家にそんな大金はないので(平山郁夫は別=mmpolo注)、どこからか相当の借金をしてばらまくらしい。そんなことをするのも、芸術院会員に選ばれれば名誉のほかにそれなりの見返りが期待できるからだろう。少し話は違うが、以前私の知っている方が伊勢丹デパートから福沢一郎の薔薇の絵を買った。6Fくらいの大きさで42万円だったという。数年してその絵が320万円になっていた。福沢一郎が文化勲章を受章したのだ。芸術院会員に選ばれれば同じ様なことが期待できるだろう。
 さて、TWさんによると、借金してお金をばらまいた某美術家が期待に反して芸術院会員に選ばれなかった。借金だけが残り、彼は結局自殺をしてしまった。
 その話を一緒に聞いていた人が、選ばれなかったときはお金を返すのですか? と聞いた。まさか返すわけはないだろう。候補者は一人ではないので、うまくすれば数千万円の無税の現金収入があるのだろうか(とゲスは勘ぐってしまう)。