資生堂ギャラリーの塩田千春は必見だ


 椿会展が銀座8丁目の資生堂ギャラリーで開かれている(6月15日まで)。今回展示されているのは、塩田千春、やなぎみわ、袴田京太朗、丸山直文の4人だが、塩田、やなぎの女性2人が男性2人よりずっと優れている。その中でも塩田千春の作品が圧倒的だ。塩田は使用された洋服やカバン、鏡などを四角い箱に入れ、黒い糸でがんじがらめに縛っている。昨年の神奈川県民ホールインスタレーションでは、燃やしたピアノや、部屋を黒い糸で絡めていたが、その延長にある作品だ。すごい存在感で他の作品が霞んでしまった。
 ギャラリーで配っている作家紹介から、

塩田は自らの心身の根底に深く刻まれ、拭えぬ存在として体内に沈潜する記憶や感覚をパフォーマンスやインスタレーションで表現しています。
初出品となる今回は、服や鏡など日常私たちのまわりにある「モノ」をモチーフにした「Trauma/日常」を出品しています。人の心理状態を「糸」に重ね、誰かのものであった日常品を糸で編み上げ、スチールの枠の中に閉じ込めた作品です。塩田の手によって、持ち主が不在の日常品から、持ち主であった人の存在感がリアルに浮かび上がります。

 神奈川県民ホールの個展の様子は以前書いた。「塩田千春展『沈黙から』は今年のベスト3に入るだろう」
 写真は神奈川県民ホールでのもの。