去年マリエンバードで

 先日紹介した「夏の名残の薔薇」には映画「去年マリエンバードで」のシナリオが引用されている。これはアラン・ロブ=グリエ脚本、アラン・レネ監督のフランス映画だ。ロブ=グリエは2人称で書かれた小説「嫉妬」や「消しゴム」「覗くひと」などを書いたヌーヴォー・ロマンの作家。アラン・レネはヌーヴェル・バーグの監督だ。「二十四時間の情事」「夜と霧」「戦争は終わった」などが代表作だが、私はほとんど見ていない。ただ「メロ」は強く印象に残っている。
 映画の中にカードを使ったゲームが出てくる。カードを4列並べる。1列目はカードが1枚、2列目は3枚、3列目は5枚、4列目は7枚。写真はカードの代わりにマッチ棒を並べた。

「交互に好きなだけカードを取っていく/ただし各回同じ列から/最後の1枚を取る者が負けだ」
 この映画を見たとき、私は若かったからまだ賢かった。だから家に帰って何度か試して、すぐにこの必勝法を理解した。友人相手にこのゲームをして必ず勝ったのだった。
「夏の名残の薔薇」に引用されている「去年マリエンバードで」のシナリオを読んで不意にそのことを思い出した。