宮下誠「ゲルニカ」を読む

ゲルニカ ピカソが描いた不安と予感 (光文社新書)
 宮下誠ゲルニカ ーピカソが描いた不安と予感」(光文社新書)を読む。先月発行されたばかりだが、宮下誠美術書とあっては読まないわけにはいかない。前に読んだ宮下誠「20世紀絵画 ーモダニズム美術史を問い直す」(光文社新書)は刺激的でとてもおもしろかった。同じ著者の「20世紀音楽 ークラシックの運命」(光文社新書)は買ったけどまだ読んでいない。
 本書はピカソの有名な作品「ゲルニカ」を徹底的に分析している。ゲルニカが描かれた当時の政治情勢、戦後紆余曲折した収蔵場所。また制作過程について45点の素描と、愛人ドラ・マールが撮影した8枚の制作過程の写真を示して解説している。ついで美術史の中の位置づけ、ピカソの様式の変遷。そしてオリジナリティーの問題、歴史画として、戦争画としての位置づけを考察している。
 これで146点も掲載されている図版が大きかったらもう何も言うことはないのだが。