ポツダム伍長とは何か

 小島信夫の奇妙な小説「寓話」(福武書店)を読んでいると、「ポツダム伍長」という言葉が唐突に出てくる。

「小島さん、それにぼくは、昭和十九年に召集で入団して、内地にいたものですから。ポツダム兵長です。小島さんは?」
「ぼくは、ポツダム伍長です。(後略)」

 私は親父に聞いていた。親父もポツダム伍長だった。日本が降伏を受け入れたとき、軍隊は全員を2階級特進させた。ポツダム宣言を受け入れての降伏だったのでポツダム〜と呼ばれた。最下級でもポツダム上等兵になったのだ。
 小島信夫も親父も上等兵だったので、兵長を飛ばして伍長になったのだ。ちなみに陸軍の階級は、2等兵、1等兵、上等兵兵長、伍長、軍曹、曹長、准尉、少尉、中尉、大尉、少佐、中佐、大佐、准将、少将、中将、大将、元帥、大元帥天皇)となる。これは小学生のころ親父から教わった。中学生になると親父とは会話をしなかった気がする。親父は7年間中国戦線にいたのに上等兵だったことについて、出世すると除隊にならない気がして進級試験にわざと落ちるようにしていたと言っていた。そのため上官からひどく怒られたとも。なお、海軍の階級は知らないままだ。