栽培植物と野生植物

 1月27日付け朝日新聞東京版に、井の頭公園で絶滅していたサジオモダカが復活したとの記事が出ていた。

 都内では絶滅したとされていた水生植物「サジオモダカ」が、井の頭自然文化園武蔵野市三鷹市)で「復活」した。職員が園内の湿地に生えているのを見つけ、株をふやし、現在も園内で育っている。地中で長い間眠っていた種子「シードバンク」が芽吹いたとみられる。シードバンクによる再生は、同園では初めてだ。

 サジオモダカは家紋になっているオモダカの仲間、葉がサジのような形をしている。近似種のヘラオモダカは葉がヘラ型をしている。
 この地中で何年も休眠していて、ある年に芽生えるのが野生植物の特徴だ。発芽する年をばらけさせるのは、芽生えた年が生育に不適正だった場合に備える自然の保険だ。これに対して栽培植物では、発芽の斉一性が求められる。何年もたってから発芽されても困るのだ。野生植物から栽培植物を作り出すに当たって、人はこの発芽の斉一性と、種子の非脱粒性を求めたのだ。だから稲は播種すれば一斉に芽生えるし、実っても穂についたままでバラバラと落ちることはないのだ。