田舎の人は歩かない

 生ゴミを捨てるダストシュートはマンションの東の端にある。自分の部屋からそこまで往復250歩ほどだ。前に勤めていた会社の倉庫が筑波にあり、公務員の退職者を倉庫の管理人として雇っていた。彼は自家用車で通勤しており、なかなかいい外車に乗っていた。ただどこへ行くにも車を使い、100メートル先の自販機まででも決して歩かなかった。
 ある時その人が万歩計を付けて歩いた歩数を計ってみた。1日にたった800歩だったという。私のダストシュートへの3往復にすぎない!
 田舎に住んでいて車に乗ることに慣れてしまうと本当に歩かなくなるものだ。田舎に暮らす友人などが東京に来ると、歩く距離の長さに音を上げたり、特に地下鉄の階段の多さに驚いたりしている。
 以前「ぴあ」の「はみだし」に掲載された小咄:万歩計をつけたI東君、「往復の通勤だけで七千歩だよ」と。すかさずT宮さんが「小刻みに歩いているんじゃない?」