皇居の三の丸尚蔵館へ行く

 皇居にある三の丸尚蔵館へ展覧会を見に行ったときのことだ。三の丸尚蔵館昭和天皇が寄贈した美術品を収蔵し展示するための小さな、しかし内容は豪華な美術館だ。なぜか宮内庁は宣伝に熱心でないように見受けられる。大手門を入ってすぐの所にある。
 そこへ平川門から入っていこうとしたら皇宮警察に止められた。どこへ行くのか? 三の丸尚蔵館へ。大手門が近いから大手門から行けばいい。いやここから行きたいのだ。三の丸尚蔵館は大手門がすぐなのだ。知っている、平川門から入って中の庭園を見たいのだ。それでは君のカバンの中を拝見したい。そうしてようやく平川門から入る許可を得た。
 その時私の服装は何ら問題がないと思われるものだった。マクレガーのブルゾン、イタリア製の皮のカバン、安くはないスニーカー、しかも私以外誰も持ち物検査を要求されていない。もし私に問題があるとすれば顔以外に考えられない。まあ自信を持って無害な顔とは言いかねるが。
 この平川門を入っていった旧二の丸庭園がいいのだ。昭和天皇が企画したという武蔵野を模した雑木林や、宮殿の江戸城の見事な石垣。意外にも人が少ないのはこれも宮内庁の方針で宣伝をしないためか。外人観光客が多いのだ。私が若かったらデートコースに組み込むのに。まず東京国立近代美術館付属のレストランで食事をして(このレストランもお勧め)、つぎに美術館の常設展を見る(常設ってところが渋いし混まない)。その後すぐ近くの平川門から入って庭園を散歩する。夜はちょっとしゃれた割烹でお酒と料理、あとはむにゃむにゃ。オッサンの妄想であった。