銀座キャノンギャラリーで加納典明展を見た。どんなに過激な写真かと期待して行ったのだったが裏切られた。その過激さはせいぜい苺を握りつぶしている写真程度なのだった。
加納典明は一時期きわどいエロチックな写真で注目を集めていた。竹書房から「月刊 THE TENMEI」というタイトルの写真誌を出していた。典明履きと称する、Tバックのショーツを前後反対に履かせた過激な写真が売り物だった。当然猥褻物として摘発され逮捕されたが、すぐに出所してきたのはおとなしく罪を認めたからだろう。
まさかキャノンギャラリーにそんな過激な写真を期待するはずはないが、それでも骨のある写真が並んでいると思ったのだ。つまり加納典明は一時期コマーシャリズムに乗ってスケベな写真を撮っただけで、それを信念をもってしたわけではなかったのだ。アラーキーのような根本的なアンチを抱えている筋金の入った写真家ではなかったのだ。
それにしても竹書房って変な出版社だ。こんな雑誌から「ぼのぼの」まで出版している。