ペーター佐藤というイラストレーター

 ペーター佐藤というイラストレーターがいた。1945年に生まれて1994年に48歳で亡くなった。ミスタードーナッツのポスターやタレントなどをエアーブラシやパステルで描いていて人気があった。
 一度ペーター佐藤にイラストの仕事を依頼したことがあった。現在ペーター佐藤ギャラリーとなっている原宿の事務所兼自宅を訪ねて打ち合わせをした。最後にギャラはいくらでしょうかと聞くと、マネージャーに聞いてくれと電話番号を教えられた。会社に戻ってから教えられた番号に電話すると、女性マネージャーは使用する媒体は何かと尋ねた。B5判のリーフレットの表紙ですと答えると、何を描くかは聞かないで「リーフレットの表紙は60万円です」と即答した。なるほど、マネージャーが管理しているのだから、ギャラも作品のテーマや難易度に関わりなく媒体で決めているのだと感心した。しかし何人かのイラストレーターやカメラマンと仕事をしたが、こういう例はこれきりだった。
 私が1枚だけ持っている美空ひばりのCDのジャケットがペーター佐藤が描くひばりのイラストだ。舞台で歌っている美空ひばりを描いているが、舞台衣装を着て右手をまっすぐ前に突き出している。ところが彼女の手がおかしいのだ。手首が肩から直接出ているように見える。つまりデッサンが狂っているのだ。
 彼は写真からイラストを起こしているのだろう。デッサン力に問題があることが如実に分かってなんだか無残だった。

 ペーター佐藤のホームページ http://www.paters.co.jp/