50というのはいい歳だ

 D. ロッジの小説「楽園ニュース」(白水社)より

 50というのはいい歳だ。なぜなら、女が「いいわ」と言えば嬉しくなり、女が「いやよ」と言えば、ほっとするから。

 これは誰が言ったのか、神は食欲については人に大少2〜3倍程度の差しか与えなかったが、性欲に関してはその何倍もの差を与えた、と。
 私の友人でも淡泊なのは、そんなこともう何年も前から興味がないよ、それより馬(競馬)が一番だよと言っているし、強いやつは最近でも10歳年上の女性をナンパしたり、週に何度も風俗店に通っている。私たちは3人とも同い年だ(ここで「3人とも」と言うのは、もう1人はそのどちらでもないとさりげなく言いたいのでしょう)。
 別の友人がいて、彼が50歳くらいの時15歳ほど年下の女性とバツイチ同士で再婚しようという話になりかけた。友人がそのことを彼の妹(40代後半)に相談すると、お兄ちゃん、今はいいかも知れないけど10年経ったらお兄ちゃんは60歳を越えるのよ、その時彼女はまだ45歳くらいでしょ、お兄ちゃんその時も今と同じだと思う? 私たちも友だち同士で話すことがあるけど、もう誰の旦那さんも元気じゃないのよね、いろいろしてあげればできるようになるけど、いつもそんなことはしたくないしねって話すのよ。だからお兄ちゃん、私はやめた方がいいと思うわ。
 友人は、あの純情だった妹からこんなことをいわれたよと、少し嬉しそうに驚いていた。