「世田谷時代1946-1954の岡本太郎」展を見る

 世田谷美術館で「世田谷時代1946-1954の岡本太郎」という展覧会を見た。副題を「戦後復興期の再出発と同時代人たちとの交流」といい、岡本太郎のほかに、山口長男、吉原治良、桂ゆき、吉仲太造、村上善男、村井正誠、長谷川三郎、末松正樹、阿部展也、桂川寛勅使河原宏池田龍雄北代省三福島秀子山口勝弘などが展示されている。(2007年3月24日ー5月27日)
 私は岡本太郎に辛いようだが、やはり岡本の作品は良くない。代表作「森の掟」「痛ましき腕」「夜」などが並んでいるが、どうしても評価することができない。中では「痛ましき腕」がいいが、これとて近いモチーフの鶴岡政男「重い手」に比べたら見劣りするのはどうしようもない。
 同時代の画家たちではやはり山口長男がいい。村井正誠や吉仲太造はどちらも晩年の傑作の域にはまだまだ達していない。これらで見る限り総じて1945-1954頃の絵画というのは貧しかったのではないかとの感想が浮かぶ。実際はここに取り上げられていない画家に良いものがあったのだろうけれど。
 まあ、それでも同時代の東山魁夷の脳天気な「道」に比べればずっといいが。針生一郎さん曰く「東山魁夷はウェハースだ。口当たりはいいが腹に貯まらん」。


岡本太郎「痛ましき腕」

鶴岡政男「重い手」