宮嶋先生の教え

 小学校5年と6年の時の担任が宮嶋光男先生と言った。植物が専門のようだったが作物の育種も手がけていた。両端を両手で持って背中が洗える1メートルをはるかに超える長いヘチマや、数センチしかない小さなひょうたんなんかを作っていた。子どもたちを連れて山奥へサンショウウオを取りに行ったり、河原へ柘榴石を拾いに行ったりした。草の名前もたくさん教わった。校舎の裏で猫が死んでいた時は拾ってきて授業で解剖した。腎臓が異常に膨れていると指摘して、これが死因だろうと言われたことが印象に残っている。ストローを猫の気管支に挿して皆に息を吹き込ませ、猫の肺を膨らませてみせた。解剖が終わった後は校庭のヒマラヤスギの根本に葬った。
 宮嶋先生に教わったことの一つに、大事なものは絶対に机の端に置くなというのがある。机の端から少なくとも15センチは内側に置けと言われた。幼いときの教えは身に付くものだ。今でも誰かが大事なものを机の端に置くと直さないではいられない(落ち着かないのだ)し、お陰でそのような状況で粗相をしたこともない。