エスタンプ

 エスタンプとは何か?

 エスタンプとはフランス語では「版画」だが、日本語では「複製版画」を意味する。複製版画の対概念はオリジナル版画。

 オリジナル版画は画家が版画を制作する目的で下絵を描き、版作りと刷り、最終チェックに至るまで作家自身で、または作家の監修によってできあがった作品のこと。これに対してエスタンプとは、作家が版画にすることを意図しないで制作された作品を原画とし、作者または遺族の了解を得て、版画の技法で第三者が制作したもののこと。(「絵画の知識百科」より)


 知人がお父さんを亡くし遺産を相続した。お父さんの記念に遺産の一部で絵を買いたい、予算が100万円、奥さんも気に入った平山郁夫リトグラフを買おうと思うが意見を聞きたいと言われた。平山のリトグラフは実はエスタンプ、画商はこの言葉を使いたがらない。
 調べると平山郁夫は本画で号700万円、10号(約53X45cm)で7,000万円もする。それがエスタンプだと70〜100万円。しかしエスタンプは言ってしまえば高級印刷にすぎない。需要があるから高いのであって、本質的に価値はない。買うべきではないと助言した。まだ無名の画家の絵を買った方が良い。


 エスタンプ=高級印刷=絵スタンプ、というのが私の回答です。


 ちなみに針生一郎さんは、東山魁夷の絵のことをバウムクーヘンと言った。心はどんなに食べても腹がふくれない。