謹賀新年

謹賀新年

全国紙3紙の読書委員が選ぶ年末恒例の今年の3冊

全国紙3紙(読売、朝日、毎日)の読書委員が選ぶ年末恒例の今年の3冊が発表された。それらの内、私が読みたいと思った本を取り上げる。 朝日新聞は〔書評委員19人の「今年の3冊」〕。残念ながらここに選ばれた57冊に読みたいと思える本はなかった。 読売…

玉村豊男『料理の四面体』を読む

玉村豊男『料理の四面体』(中公文庫)を読む。東大仏文科を卒業、在学中にフランスへ留学する。料理を研究し、ワインのソムリエでもあり、東御市に住み葡萄を栽培しワインを作っている。 本書は料理について基礎から考察している。というと難しそうだが、若…

南天子画廊の岡崎乾二郎展を見る

東京京橋の南天子画廊で岡崎乾二郎展「頭のうえを何かが」が開かれた(12月23日まで)。これは出版記念展と題されていて、『頭のうえを何かが』(ナナロク社)という岡崎乾二郎の新刊出版に合わせた個展だった。 画廊に展示されている絵を見て驚いた。ほとん…

片山杜秀『歴史は予言する』を読む

片山杜秀『歴史は予言する』(新潮新書)を読む。『週刊新潮』に連載したコラム「夏裘冬扇」の書籍化。片山杜秀は近代日本政治思想史家でクラシック音楽の評論家。週刊誌の軽いコラムと思って読み始めたらとんでもなく重い充実したエッセイだった。名コラム…

国立新美術館の「Idemitsu Art Award展2023」を見る

東京六本木の国立新美術館で「Idemitsu Art Award展2023」が開かれていた(12月25日まで)。831点の応募作品の中から厳選された受賞・入選作品54点を展示とある。 グランプリが1点、審査員賞が5点、学生賞が2点だった。受賞作品を紹介する。 高橋侑子(グ…

「ぼくはなぜ今ここに存在しているのだろう」に対するGPT4の回答

須藤靖が『P』に連載している「注文(ちゅうぶん)の多い雑文 その64」で「今ここにある宇宙とぼくの存在について」と題するエッセイを書いている(2023年12月号)。須藤靖は東大の宇宙論・太陽系惑星を専門とする研究者なのだ、 「ぼくはなぜ今ここに存在し…

藤本正行『信長の戦争』を読む

藤本正行『信長の戦争』(講談社学術文庫)を読む。副題が「『信長公記』に見る戦国軍事学」というもの。藤本正行は、これまで信長の優れた軍事的作戦とされてきた桶狭間の奇襲戦、秀吉による墨俣一夜城築城、長篠合戦の鉄砲三千挺・三弾撃ち。これらを後世…

eitoeikoの岡本光博展「ラブ&ピース」を見る

東京神楽坂のeitoeikoで岡本光博展「ラブ&ピース」が開かれている(12月30日まで)。岡本光博は1968年京都生まれ。94年滋賀大学大学院修了。94~96年アート・スチューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨークに在籍。97~99 年 CCA 北九州に在籍。01~04 年ドイ…

池谷裕二『自分では気づかないココロの盲点 完全版』を読む

池谷裕二『自分では気づかないココロの盲点 完全版』(講談社ブルーバックス)を読む。副題が「本当の自分を知る練習問題80」。脳には「認知バイアス」という思考や判断のクセがあるという。それを80項目の質問と答えによって教えてくれる。 デパートの食品…

ギャラリーSAOH & TOMOSの石垣むつみ展を見る

東京神宮前のギャラリーSAOH & TOMOSで石垣むつみ展「過ぎたことと足りないこと」が開かれている(12月23日まで)。石垣は東京生まれ、文化学院デザイン科・芸術科を修了している。1993年に目黒のギャラリークラマーで個展を行い、その後ギャラリー砂翁や空…

井上ひさし『芝居の面白さ、教えます 日本編』を読む

井上ひさし『芝居の面白さ、教えます 井上ひさしの戯曲講座 日本編』(作品社)を読む。これが面白かった。仙台文学館の初代館長だった井上ひさしが行なった戯曲講座という講演会と文学講座を文字起こししたもの。ほかに「海外篇」もある。 取り上げられたの…

SPCギャラリーの平塚良一×松浦延年展を見る

東京日本橋兜町のSPCギャラリーで平塚良一×松浦延年展「化学反応を観る」が開かれている(12月26日まで)。今回は化学を専攻した画家という共通点で二人展が企画された。 平塚良一は1947年埼玉県生まれ、1970年日本大学理工学部工業化学科卒業、1975年パリ国…

ギャルリー東京ユマニテbisの勝見俊介展を見る

東京京橋のギャルリー東京ユマニテbisで勝見俊介展が開かれている(12月23日まで)。勝見俊介は1983年新潟県生まれ、2017年より編み物を始める。2022年に東京のスパイラルホールの「SICF23」に参加したが、東京では今回が初個展となる。 勝見は一見ドローイ…

吉川浩満『理不尽な進化』を読む

吉川浩満『理不尽な進化』(ちくま文庫)を読む。副題が「遺伝子と運のあいだ」。第1章は地球上の生物種が過去99.9%絶滅していると驚くべき指摘がされる。ほぼすべての種が絶滅する。生き残っているのはわずか0.1%に過ぎない。しかしそれは適者が生き残っ…

養清堂画廊の若月公平展を見る

東京銀座の養清堂画廊で若月公平展「描くこと自体のポイエーシス」が開かれている(12月23日まで)。若月公平は1956年埼玉県生まれ、1981年 武蔵野美術大学実技専修科研究課程版画専修修了している。現在東北芸術工科大学で教えていて、優れた弟子が輩出して…

Stepsギャラリーの古藤典子展を見る

東京銀座のStepsギャラリーで古藤典子展が開かれている(12月23日まで)。古藤は1954年埼玉県浦和市生まれ、1979年に武蔵野美術大学大学院を修了している。みゆき画廊、ギャラリーQ、ギャラリー檜などで個展を重ね、ギャラリー現では何度も個展を繰り返して…

TS4312の「2023年TS4312入札オークション」を見る

東京四谷三丁目のTS4312で「2023年TS4312入札オークション」が開かれている(12月24日まで)。ここの最低入札価格がとても安い。入札だから最低価格で落札できるわけではないが、画廊主の沢登さん曰く、うちはお客さんが少ないからあまり競ることがないので…

ギャラリーQの井上修策展を見る

東京銀座のギャラリーQで井上修策展「layered Canvas-枯淡―」が開かれている(12月16日まで)。井上は1984年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業している。長年ギャラリー現で個展を開いていたが、最近はギャラリーQや藍画廊などで開催している。 井上…

ギャラリー58のベン カ個展を見る

東京銀座のギャラリー58でベン カ個展が開かれている(12月16日まで)。ベン カBian Kaは1998年中国浙江省生まれ、2018年台湾東海大学美術学科油画専攻交換留学、2020年浙江省師範大学油画専攻卒業、2023年東京藝術大学Diversity on the Arts Projectプログ…

マホ クボタ ギャラリーの播磨みどり展を見る

東京神宮前のマホ クボタ ギャラリーで播磨みどり展「場と印刷」が開かれている(12月23日まで)。播磨みどりは1976年神奈川県生まれ、2000年に女子美術大学芸術学部絵画科版画コースを卒業、2000年にギャラリー銀座フォレストで初個展、その後300日画廊、ギ…

ジャレド・ダイアモンド『若い読者のための第三のチンパンジー』を読む

ジャレド・ダイアモンド『若い読者のための第三のチンパンジー』(草思社文庫)を読む。副題が「人間という動物の進化と未来」。人間の近縁種はチンパンジー(コモンチンパンジー)とボノボ(ピグミーチンパンジー)であり、人間は第三のチンパンジーだとい…

ギャルリー東京ユマニテの中井川由季展を見る

東京京橋のギャルリー東京ユマニテで中井川由季展が開かれている(12月23日まで)。中井川由季は1960年茨城県生まれ、1984年多摩美術大学絵画科を卒業し、1986年同大学大学院美術研究科修士課程を修了している。1990年にポルトガルより招聘されて滞在制作、2…

ギャラリーなつかの濱田富貴展を見る

東京京橋のギャラリーなつかとクロスビューアーツで濱田富貴展「言ノ葉―Program」が開かれている(12月23日まで)。濱田は福岡県生まれ、2000年に武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻版画コースを修了している。その後、カナダのアルバータ大学やアメリ…

ギャラリー・ビー・トウキョウの多賀直展を見る

東京京橋のギャラリー・ビー・トウキョウで多賀直展が開かれている(12月9日まで)。多賀は1999年北海道生まれ、2023年に金沢美術工芸大学工芸学科漆木工コースを卒業している。金沢で初個展の後、東京では初めての個展となる。 多賀は木で人体を彫り、それ…

ギャラリー川船の「歳末入札展示会」を見る

東京京橋のギャラリー川船で「歳末入札展示会」が始まった(12月9日まで)。 入札の方式は「二枚札方式」、これは入札カードに上値(上限)と下値(下限)の二つの価格を書いて入札するもの。他に入札者のない場合は下値で落札する。上値が同額の場合には下…

阿利漠二『ルソン戦―死の谷』を読む

阿利漠二『ルソン戦―死の谷』(岩波新書)を読む。私は本書を36年前、発行直後の1987年に購入している。本棚に差したまま一度も読んでいなかった。本文は紙がちょっと焼けて黄色みを帯びている。 どうしてこんな重要な本を読まなかったのか、もっと早くに読…

角谷詩織『ギフテッドの子どもたち』を読む

角谷詩織『ギフテッドの子どもたち』(集英社新書)を読む。ギフテッドとは普通天才児を指すと思われている。それに対して角谷詩織は、ギフテッド児は並外れた才能はあるけれど天才とは限らないという。むしろ90%は天才ではないと。(天才はギフテッドだが…

池上彰/パトリック・ハーラン『世界を動かした名演説』を読む

池上彰/パトリック・ハーラン『世界を動かした名演説』(ちくま新書)を読む。池上彰とパトリック・ハーラン(以下パックン)が対談で、名演説を紹介し、その名演説であるポイントを紹介する。特にパックンは英語原文のレトリックの面白さやリズムの良さ(…

巷房・1+階段下の近藤あき子展を見る

東京銀座の巷房・1+階段下で近藤あき子展が開かれている(12月2日まで)。近藤あき子は新潟県生まれ。1966〜1972年、早稲田大学および同大学院でロシア文学を専攻する。1976〜1986年、新起流美術研究所等にて油絵を学ぶ。1987年渡米し、ヒューストンGlass…