社会

ネットで文字は売れるか

朝日新聞のオピニオン欄「耕論 ネットで文字は売れるか」で、ネットニュース編集者の中川淳一郎が面白い発言をしている(11月3日)。 私は、ネットニュースをアップする編集者です。言葉は悪いですが、あえて言います。日々の仕事は、押し寄せるバカとの闘…

反対運動への威嚇

以前、まだ福島原発が壊れる前、山口県の上関原発に対して反対とここに書いた。 ・上関(かみのせき)原発に反対します(2009年9月24日) しばらくして、それに匿名のコメントが付けられた。 同志 2010/09/12 上関原発建設は、日本の二酸化炭素排出量削減の…

佐野眞一『新 忘れられた日本人』を読む

佐野眞一『新 忘れられた日本人』(ちくま文庫)を読む。題名は宮本常一『忘れられた日本人』にあやかっているが、似て異なるものだ。宮本の名著のような感動はなく、むしろある種のゴシップ集とも言える。佐野がノンフィクションで取り上げた大物たちの周辺…

コレクションの行方

美術品などの個人コレクターが増えているように思う。そんなコレクターたちの集まりもある。昨日も誘われて浅草近くの吾妻橋のギャラリー ア・ビアントへ『第8回「わの会」コレクション展』を見に行ってきた。34人のコレクターが60点の作品を出品している。…

仕事のコツ

4月の新入社員向けにはずいぶん遅すぎるし、五月病対策にも遅れてしまったけれど、一応サラリーマン歴30数年の実績から、偉そうに仕事のコツと銘打って何程か書いてみる。 私は仕事に関してストレスを感じることが少ない。それは性格なのかもしれないけれど…

江戸の言葉

朝日新聞beの記事に「サザエさんをさがして」という連載コラムがある。古いサザエさんのマンガを選んで、当時の風俗を解説するものだ。6月9日のそれは「生ビール」がテーマだった。取り上げられたサザエさんは1957年7月14日のものだ。最初の1コマだけこ…

ゴビンダ・プラサド・マイナリさんの再審決定を喜ぶ

東電OP殺人事件で無期懲役が確定し服役していたネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリさんの再審が決定し、釈放されたことを喜んでいる。佐野眞一『東電OL殺人事件』(新潮文庫)を読めば、彼が無実なことは確信できる。もう15年間も服役している。再審…

ヨシダグループ会長の金言

朝日新聞土曜日be掲載の「フロントランナー」、6月2日に取り上げられたのは米国ソース王というヨシダグループ会長の吉田潤喜(62歳)だ。吉田は大学受験に失敗した19歳のとき渡米する。空手道場を経営していたが、不況で生徒たちへのクリスマスプレゼント…

佐野眞一『東電OL症候群』を読んで

昨夜、仕事から帰宅した娘が、父さん何か元気がないけどどうしたの? 会社で嫌なことがあったの? と訊いてきた。いや、何もないよと答えたが、なぜか元気がないのは自覚していた。それがなぜなのか、自分でも理由が分からなかった。 今日、佐野眞一『東電OL…

生涯学習のススメのテーマ

電車の額面広告に文教大学生涯学習センターの広告が展示されており、「生涯学習のススメ」として2つの講演が紹介されていた。その1つが文教大学学長による講演で、タイトルが大きく掲げられている。 生きるために学び、学ぶことを楽しみ、 生きることで学…

ひな人形の混乱

3月3日の朝日新聞「be on Saturday」の特集がサトウハチロー作詞の童謡「うれしいひなまつり」だった。その有名な歌詞が間違っているという。 お内裏さまと おひなさま 二人ならんで すまし顔 浅草橋「吉徳」の資料室長小林すみ江がその間違いを指摘してい…

スキミング・バリアーというカード

献血をしようと日本赤十字の献血会場へ行ったら、尿酸値を下げる薬を飲んでいることを理由に採血を断られた。でも応募してきたからと小さなカードをもらった。「Skimming Barrier」と書かれたスキミングバリアカードだ。これは何だろう? カードの裏面には、…

佐野眞一『昭和の終わりと黄昏ニッポン』を興味深く読んだ

佐野眞一『昭和の終わりと黄昏ニッポン』(文春文庫)を興味深く読んだ。佐野眞一の本はハズレがない。本書は昭和天皇が亡くなる前後の出来事を前半に置いて、後半は平成に入ってからの事件や出来事を紹介している。前半の「昭和が終わった日」と後半「平成…

速水健朗『ラーメンと愛国』を読む

速水健朗『ラーメンと愛国』(講談社現代新書)を読む。題名から想像される内容とは違ってすばらしい本だ。あとがきから、 大量生産・大量消費、総力戦体制の戦争、世界大戦後の食糧難、都市化、郊外化、マスメディア時代の到来、情報化社会、こうした20世紀…

脚本家倉本聡の語るTPP論

朝日新聞12月9日の朝刊に「インタビュー 北の国から TPPを考える」と題する脚本家倉本聡へのインタビューが載っている。見出しが「土から離れた議論 農業を知らない東京目線の思考」となっている。 倉本聡は1935年生まれ。まず記事のリーダーから、 北海道…

中沢新一「日本の大転換」を読む

中沢新一「日本の大転換」(集英社新書)を読む。2度読む。新書でわずか156ページの薄さ、著者もあとがきで「このパンフレット」と言っている。しかし何という重い本だろう。本書のテーマは東日本大震災とその結果起こった福島第一原発の事故をめぐって日本…

紳助を糾弾する佐野眞一

筑摩書房のPR誌「ちくま」10月号に掲載されている佐野眞一の連載エッセイ「テレビ幻魔館」の今月のタイトルは「紳助引退と新総理」だ。野田新総理の件はさておいて、紳助に対しては容赦ない。 ヤクザとの交友メールがばれて芸能界を引退せざるを得なくなった…

東電OL殺人事件の再審の可能性

東電OL殺人事件のネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリ受刑者が裁判のやり直しを求めているが、被害者の体から採取された精液のDNA鑑定の結果、再審の可能性が出てきたという。 筑摩書房のPR誌「ちくま」には佐野眞一のコラム「テレビ幻魔館」が連載さ…

「おひとりさまの終活」を読む

中澤まゆみ「おひとりさまの終活」(三省堂)を読む。本書は同じ著者の「おひとりさまの法律」「男おひとりさま術」(いずれも法研)の姉妹書。今回は副題にあるように「自分らしい老後と最後の準備」をテーマにしている。 まず老後の収入を考える。そのため…

取引先の部長のペットの犬が死んだとき

得意先の部長がペットの犬を可愛いがっていた。最初に部長に会ったころ、○○ちゃんが、○○ちゃんが、と何度も言うので、子供のことかと思ったらそれがペットの犬だった。帰宅しても玄関に迎えに来てくれるのは○○ちゃんだけだよ、奥さんや娘なんて出てこないん…

東京が3月15日に被爆した?

先日、現代美術画廊会議主催のシンポジウム「3.11以降のアートとアトム」が開かれた折り、パネラーの一人で武蔵野美術大学教授(名を失念)が言われた「東京は3月15日に被爆しました」という発言が気になっていた。それが、8月11日付け朝日新聞朝刊に、ほ…

テレビのお笑い番組やバラエティ番組への異議

太宰治「人間失格」に有名な次のシーンがある。 その日、体操の時間に、その生徒(姓はいま記憶していませんが、名は竹一といったかと覚えています)その竹一は、れいに依って見学、自分たちは鉄棒の練習をさせられていました。自分は、わざと出来るだけ厳粛…

東電OL殺人事件の受刑者ゴビンダ氏の強さ

東電OL殺人事件でネパール人のゴビンダ・プラサド・ゴビンダ受刑者(44歳)が有罪とされ無期懲役が確定している。先日新たな証拠が見つかり、再審請求がされている。「東電OL殺人事件」(新潮文庫)を書いた佐野眞一が婦人公論にエッセイを書いている(2011…

文春新書「弔辞」から見えるもの

文藝春秋編「弔辞」(文春新書)を読む。副題が「劇的な人生を送る言葉」。本書は月刊「文藝春秋」2001年2月号、2011年1月号に掲載された「弔辞」から50人分を収録したもの。弔辞をまとめたものは20年以上前に中公新書で刊行されたものに始まり、今まで何…

東電OL殺人事件のこと

東電OL殺人事件はネパール人容疑者ゴビンダ・プラサド・マイナリの無期懲役が確定して裁判は終わった。しかし最近、新しい証拠が現れて、再審要求が出されるようだ。 これに関しては佐野眞一「東電OL殺人事件」(新潮文庫)を読んだかぎりではゴビンダさんは…

辛酸なめ子の「女子校育ち」を読んで

筑摩書房のPR誌「ちくま」4月号に前川直哉のエッセイ「辛酸なめ子さん、女子校への愛をぶちまける」が掲載されていて、面白そうに思われた。 内容も女子校出身者へのアンケート、学校説明会レポート、文化祭や同窓会への潜入記、現役女子校生による座談会や…

原武史「滝山コミューン1974」を読む

原武史「滝山コミューン一九七四」(講談社文庫)が面白かった。原は1962年東京都生まれの日本政治思想史学者。日本住宅公団が東久留米市に建てた巨大団地である滝山団地に両親とともに引越し、団地のなかにできた第七小学校へ入学する。そして滝山コミュー…

「被差別の食卓」がとてもいい

上原善広「被差別の食卓」(新潮新書)がとても良かった。冒頭、幼い頃「あぶらかす」が好きだったと書き始めている。母の料理だった。そんなあぶらかすが一般的な食材でないと知ったのが中学生の頃だった。それは被差別部落の食材だった。著者は1973年、大…

「メディアと日本人」(岩波新書)を読む

橋元良明「メディアと日本人」(岩波新書)を読んだ。5月29日の朝日新聞の書評で、姜尚中が「実に読みがいのある新書である」と書いていた。ネットが普及して日本人の生活がどう変わったか変わらなかったか、著者が15年来実施している「日本人の情報行動調…

上関原発反対の短歌

5月9日付け朝日新聞歌壇に佐々木幸綱の選で次の短歌が選ばれた。 三 十 年 原 発 反 対 叫 び た る 祝 島 漁 民 意 志 固 き かな (山陽小野田市)浅上 薫風 「以前上関原発に反対します」というブログを書いた私の所にも次のようなコメントが付いたのだ…