映画

金井美恵子『映画、柔らかい肌。映画にさわる』から

金井美恵子『映画、柔らかい肌。映画にさわる』(平凡社)を読んでいる。その「II 愉しみはTVの彼方に、そして楽しみと日々」から、例によってまず金井の毒舌を。『溝口健二大映作品全集』と新藤兼人の『ある映画監督の生涯・溝口健二の記録』を見ながら、 …

金井美恵子エッセイコレクション4『映画、柔らかい肌。映画にさわる』

金井美恵子エッセイコレクション4『映画、柔らかい肌。映画にさわる』(平凡社)を読んでいる。厚い本で600ページを超えている。その第1章「映画、柔らかい肌」を読んだところだが、その2/3が「金井美恵子インタヴュー1982」となっていて、聞き手は映画…

『幕が上がる』を見る

本広克行監督の映画『幕が上がる』を見る。先に平田オリザ『演劇入門』(講談社現代新書)を読んだが、それを朝日新聞の書評欄で本広克行が推薦していた。その文章、 『演劇入門』を読んだのはアクション映画「少林少女」を撮り終えた頃。戯曲の書き方や役者…

ゴダールの『アルファビル』を見て

表参道のイメージフォーラムでゴダール監督の映画『アルファビル』を見た。ゴダールのSFで未来社会を描いている。1965年の公開というから50年前の作品だ。未来社会といいながら、「ディストピア的未来都市・アルファヴィルを描写するに当たり、セットやミニ…

原節子特集の『驟雨』を見る

ラピュタ阿佐ヶ谷で原節子特集をやっている。ここで成瀬巳喜男監督、原節子と佐野周二主演の映画『驟雨』を見る。岸田國士の戯曲が原作、脚本は水木洋子。1956年公開で、この時原は36歳、佐野は44歳だった。結婚4年後の夫婦の日常を描いている。 しかし、二…

『さらば、わが愛/覇王別姫』を見る喜び

TOHOシネマズをはじめ全国50余の映画館で「新・午前十時の映画祭」が開かれている。今年が第2回目で、年間25の映画を毎回2週間ずつ午前10時から1回だけ上映するという企画、料金は一律1,000円(学生500円)となっている。そのプログラムは往年の名画をデジ…

石橋蓮司映画祭を見て

池袋の映画館新文芸坐で先月石橋蓮司映画祭が開かれた。石橋が出演した映画20本を毎日日替わりで2本ずつ連続上映するという企画だった。私はそのうち、『わらびのこう』と『生きてみたいもう一度』を見た。どちらも恩地日出夫監督作品だ。 『わらびのこう』…

『舟を編む』を見て読む

三浦しをん『舟を編む』(光文社)を読む。3年前のベストセラーだ。これを原作にした映画をテレビで放映したのを録画しておいて見た。監督が石井裕也、日本アカデミー賞を受賞している。映画がとても良かったので、原作はどうだったのか知りたくて読んでみ…

塩田明彦『映画術』がすばらしい

塩田明彦『映画術』(イースト・プレス)を読む。副題が「その演出がなぜ心をつかむのか」といい、2012年の春から秋にかけて映画監督の塩田が映画美学校アクターズ・コース在校生に向けて行った連続講義を採録したもの。そうすると、俳優向けの講義と思われ…

淀川長治と吉行淳之介の対談

『吉行淳之介全集』(新潮社)の第11巻は「全恐怖対談」と題されていて、「恐怖対談」「恐怖・恐怖対談」「恐・恐・恐怖対談」「特別恐怖対談」の4篇が収録されている。対談相手は全部で40人。その「恐怖対談」に淀川長治が登場する。 淀川 あのね、7、8…

淀川長治から教えられた「愛」!

淀川長治『淀川長治の美学入門』(マドラ出版)からいろいろ教わった。やはりこの人はただ者じゃない。今回は「愛」について。 本当の愛というのは、10人の男、10人の女を知ったうえで、1人の男、1人の女を好きになること。なんの経験もなく、なんの失敗も…

『映画は語る』における淀川長治の語り口

淀川長治・山田宏一『映画は語る』(中央公論新社)は淀川に対する山田のインタビュー集だ。すばらしい映画談義が交わされている。淀川のクセのある語り口を紹介したい。 山田 最近の、というより、もうだいぶ前から、フランス映画には淀川さんがおっしゃら…

淀川長治・山田宏一『映画は語る』がすばらしい

淀川長治・山田宏一『映画は語る』(中央公論新社)がすばらしい。対談というよりも、山田の淀川へのインタビュー集。山田は淀川に6回のインタビューを行っている。それぞれテーマは「トリュフォー」「バスター・キートン」「(プロデューサーの)サミュエ…

山田宏一『NOUVELLE VAGUE 山田宏一写真集』を読む

山田宏一『NOUVELLE VAGUE 山田宏一写真集』(平凡社)を読む。2010年6月に山田宏一は水道橋駅近くのギャラリーメスタージャで写真展を開いた。その時のタイトルが"山田宏一写真展「NOUVELLE VAGUE(ヌーヴェル・ヴァーグ)」だった。映画評論家山田宏一が…

メゾンエルメスで『アイルトン・セナ〜音速の彼方へ』を見る

銀座のメゾンエルメスで、『アイルトン・セナ〜音速の彼方へ』を見る。アシフ・カパディア監督のイギリス映画で、2010年制作のドキュメンタリー。アイルトン・セナはブラジル出身のF1レーサーでワールドチャンピオンを3回も獲得したが34歳のとき、レース中…

淀川長治『究極の映画ベスト100』を読んで

淀川長治『究極の映画ベスト100』(河出文庫)を読む。本書の初版は2003年、淀川は1998年に亡くなっている。「はじめに」を読むと、『淀川長治映画ベスト1000』(河出書房新社)の中から、岡田喜一郎が100本を選んで編集したものだった。 右ページに写真とス…

一番大事なものを失くしたら

山田宏一『新版 映画この心のときめき』は映画評論家山田宏一が1971〜1973年にかけて『キネマ旬報』に連載した映画評をまとめたものだ。ここに紹介されている映画を私はほとんど見ていないが、山田宏一ファンとしてはなかなか楽しい読書だった。さすが映画好…

山田宏一『増補 トリュフォー、ある映画的人生』を読む

山田宏一『増補 トリュフォー、ある映画的人生』(平凡社ライブラリー)を読む。山田宏一を読む楽しみ。 私は戦後フランスのヌーヴェル・ヴァーグの映画が好きなつもりでいた。でも見てきたのはほとんどゴダールのみで、アラン・レネとルイ・マルにエリック…

瀬戸川猛資『夢想の研究』を再読した

瀬戸川猛資『夢想の研究』(創元ライブラリ)を再読した。これは先に紹介した瀬戸川の『夜明けの睡魔』(創元ライブラリ)の姉妹書。「睡魔」がミステリを扱っていたのに、本書は副題が「活字と映像の想像力」というように、映画とミステリを「クロスオーバ…

『かぞくのくに』を見る

ヤン・ヨンヒ監督・脚本の『かぞくのくに』を見る。2012年公開の日本映画を対象にした「キネマ旬報」ベストテンで日本映画の1位に選ばれた。監督のヤン・ヨンヒは在日コリアン2世。 ストーリーをWipipediaから引くと、 在日コリアンのソンホは16歳のとき朝…

山田宏一『映画とは何か』を読んで(その2)

山田宏一『映画とは何か』(草思社)を読む。23人の映画人へのインタビュー集。内訳は、映画監督12人、女優4人、映画評論家3人、その他作曲家やプロデューサーなど。男優は俳優・射撃インストラクターとしてトビー門口ひとりだけ。外国人が14人。昨日の(…

山田宏一『映画とは何か』を読んで(その1)

山田宏一『映画とは何か』(草思社)を読む。23人の映画人へのインタビュー集。内訳は、映画監督12人、女優4人、映画評論家3人、その他作曲家やプロデューサーなど。男優は俳優・射撃インストラクターとしてトビー門口ひとりだけ。外国人が14人。 主な対談…

ローズマリーいろいろ

ローズマリーといえば植物の名前だ。料理に入れて香辛料としても使われる。Wikipediaによれば、次のように書かれている。 ローズマリーは、地中海沿岸地方原産で、シソ科に属する常緑性低木。生葉もしくは乾燥葉を香辛料として用いる。また精油は薬にも用い…

山田宏一『トリュフォーの手紙』を読む

山田宏一『トリュフォーの手紙』(平凡社)を読む。わが愛する金井美恵子が去年9月30日の毎日新聞のコラム「私の好きなもの」で、本書を取り上げていた。それでは読まずばなるまい。 題名からトリュフォーの手紙がそのまま山田宏一の編集で1冊の本になって…

映画『祝の島』を見る

今年6月に銀座ニコンサロンで本橋成一写真展『屠場』を見た。本橋は全国の屠殺場を取材して撮影していた。会場で本橋と話すと、現在屠場の映画を撮っているという。そのちらしをもらって、よく見ると本橋は『祝の島』のドキュメンタリー映画のプロデューサ…

金井美恵子の好きなもの3つ

毎日新聞のコラム「好きなもの」の9月30日は金井美恵子が書いている。このコラムは著名人が好きなものを3つ挙げて、簡単な解説をつけるもの。今回は私の好きな金井美恵子の登場だ。さて、彼女の好きなもの。 1.映画の本と世界 2.トリュフォーの手紙 3…

ルテシアという名前を巡って

以前、渋谷のホテル街で東電OL殺人事件の事件現場アパートを探し歩いていたとき、ルテシアという名前のホテルを見つけ、その名前がなぜか気になった。しばらくして、ロベール・アンリコが監督したフランス映画『冒険者たち』のヒロインの名前がレティシアだ…

映画『裏切りのサーカス』と『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』

映画『裏切りのサーカス』を見た。監督がトーマス・アルフレッドソン、主演がゲイリー・オールドマンだ。映画館のホームページにリピーターが多いと書かれていた。また、ちらしにこんなことが書かれている。 ※本作に限り、ストーリー、人物相関図などを、あ…

今村昌平『遙かなる日本人』を読んで

今村昌平『遙かなる日本人』(岩波同時代ライブラリー)を読む。映画監督今村昌平の自伝かと思ったら、あちこちに書いたものをまとめたエッセイ集だった。映画監督になる過程を素描したものもあり、東南アジアに連れて行かれて売春をさせられた「からゆきさ…

川本三郎『今ひとたびの戦後日本映画』を読んで

川本三郎『今ひとたびの戦後日本映画』(中公文庫)を読む。雑誌『世界』に1992年から1993年頃連載したもの。戦後日本映画について語って、当時の日本の社会を分析したり、ときに女優や男優についても語っている。映画をよく見て深く読み込んでいる。しかし…