哲学

ショーペンハウアー『読書について』を読んで

ショーペンハウアー/鈴木芳子・訳『読書について』(光文社古典新訳文庫)を読む。詩人の荒川洋治が高く評価していたから(毎日新聞 2013年8月11日)。荒川の書評より、 「本を読むとは、自分の頭ではなく、他人の頭で考えることだ。たえず本を読んでいる…

鉄斎のきつい言葉

37年前に『日本の名画 富岡鉄斎』(中央公論社)という画集を買った。そこに鉄斎の写真が載っていた。記念写真のようで、鉄斎たち5人の老人が並んでいる。写真の上に鉄斎の字で彼らの名前が書かれていて、右から内藤湖南、鉄斎、羅雪堂、犬飼木堂、長尾雨山…

長谷川宏『いまこそ読みたい哲学の名著』を読む

長谷川宏『いまこそ読みたい哲学の名著』(光文社文庫)を読む。長谷川はヘーゲルの翻訳で評価の高い哲学者だ。本書で選ばれている哲学書12冊。 アラン『幸福論』 シェイクスピア『リア王』 デカルト『方法序説』 プラトン『饗宴』 『論語』 マックス・ヴェ…

木田元『ハイデガー拾い読み』を読む

木田元『ハイデガー拾い読み』(新潮文庫)を読む。これは「ニーチェの言葉」とか「ブッダの言葉」のような、著者が適当な文章を選び出し自分に引きつけて勝手な解説を加えたクソ本(失礼)とは断固違う。本書は正確には「ハイデガー講義録拾い読み」だとい…

宮岡伯人「エスキモー 極北の文化誌」を読む

千野栄一が「ことばの樹海」(青土社)で、青木晴夫「滅びゆくことばを追って」(岩波同時代ライブラリー)が面白いと推薦していたので読んだら実に面白かった。そのことは私も先日(3月4日)紹介した。千野はもう1冊、宮岡伯人の「エスキモー 極北の文化…

木田元へのインタビュー

朝日新聞夕刊に「人生の贈りもの」というコラムがあり、毎週著名人へのインタビューが5回シリーズで掲載されている。先週が哲学者の木田元だった。インタビューなのできわめてやさしい言葉で哲学が語られている。 ーー(ハイデガーは)どんな人物だったので…

未完の大作「カラマーゾフの兄弟」と「存在と時間」

ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」を読んだ。いま話題の亀山郁夫訳の光文社古典新訳文庫版だ。全5巻、4部構成の1部を文庫1冊にあて、エピソードを1冊にあてて5巻としている。しかしエピソードはたった60ページほどなので、そこに「ドストエフス…