石畑由紀子『エゾシカ/ジビエ』(六花書林)を読む。石畑は1971年北海道帯広市生まれ、初め自由詩を書いていたが、30代後半になって短歌を詠み始めたという。本書が第1歌集となる。 恋愛は人をつかってするあそび 洗面台に渦みぎまわり ゆびさきでのぼりつ…
東京矢来町のeitoeikoで本間純展「Now and Things」が開かれている(7月22日まで)。本間は1967年東京生まれ、1990年多摩美術大学卒業、2019年文化庁新進芸術家海外研修制度特別研修員としてベルリンに派遣される。 DM葉書の文章を引く。 インターネットやA…
東京銀座のコバヤシ画廊で渋谷和良展が開かれている(7月22日まで)。渋谷は1958年東京生まれ、1981年に東京藝術大学美術学部油画科を卒業し、1983年に同大学大学院美術研究科版画専攻修士課程を修了している。2002年から1年間、文化庁在外派遣研修員として…
斎藤美奈子『出世と恋愛』(講談社現代新書)を読む。副題が「近代文学で読む男と女」。 斎藤の視点はいつも皮肉で辛辣で面白い。 最初にいっておくと、近代日本の青春小説はみんな同じだ。「みんな同じ」は誇張だが、そう錯覚しても仕方ないほど、似たよう…
今井むつみ・秋田喜美『言語の本質』(中公新書)を読む。副題が「ことばはどう生まれ、進化したか」。 初めにオノマトペを考えていく。オノマトペとは、ドロドロとか、ジャンジャンとか、ゲラゲラのような擬音語、擬態語などを指すことば。オノマトペは「感…
村上靖彦『客観性の落とし穴』(ちくまプリマ―ブックス)を読む。 大学の授業で学生から「先生の言っていることに客観的な妥当性はあるのか」と質問されることがあるという。村上は、「客観性」「数値的なエビデンス」は、現代の社会では真理とみなされてい…
東京表参道のhpgrpギャラリー東京で江頭誠展「四角い花園」が開かれている(7月15日まで)。江頭は1986年三重県生まれ、2011年に多摩美術大学美術学部彫刻学科を卒業している。2015年に岡本太郎現代芸術賞特別賞を受賞、今回その受賞作「神宮寺宮型八棟造」…
東京神宮前のギャラリーSAOH & TOMOSで東真里江個展が開かれている(7月15日まで)。東は1991年長崎県生まれ、2012年に佐世保市看護専門学校を卒業している。2017年より独学で絵を描き始める。と、履歴にはこうあったが、画家から油彩の技法の基礎を学んだ…
唐沢孝一『都会の鳥の生態学』(中公新書)を読む。副題が「カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰」というもの。唐沢は都会の鳥=都市鳥について半世紀以上にわって観察してきたという。その長年の研究実績から具体的なエピソードが満載されている…
東京京橋のギャラリーなつかで須貝芽生銅版画展が開かれている(7月19日まで)。須貝は2000年山形県生まれ、2023年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画専攻を卒業している。2022年にカフェギャラリーで初個展、今回が2回目の個展となる。 須貝は具象的な…
東京日本橋馬喰町のPARCELで森靖展が開かれている(7月11日まで)。森は1983年愛知県生まれ、2009年東京藝術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻を修了している。2010年に山本現代で初個展、PARCELでは2020年に続いて2回目の個展となる。相変わらず巨大…
東京銀座のガルリSOLで川島史也展が開かれている(7月15日まで)。川島は1989年栃木県足利市生まれ、2012年宇都宮大学教育学部美術教育専攻を卒業し、2019年筑波大学大学院人間総合科学研究部博士後期課程芸術専攻を修了している。2019年に茨城県のギャラリ…
東京吾妻橋のギャラリーアビアントで石山修武・深沢軍治「まだまだ変わる展」が開かれていた(7月5日まで)。石山は1944年生まれの著名な建築家、またギャラリーせいほうでしばしば美術作品の個展を開いている。深沢は1943年山梨県生まれ、1971年に東京芸…
DM葉書 東京銀座のStepsギャラリーで吉岡まさみ展「chain breaker」が開かれている(7月15日まで)。吉岡は1956年、山形県生まれ。1981年に東京学芸大学教育学部美術科を卒業している。1982年に東京のかねこ・あーとGIで初個展、以来同画廊やときわ画廊、巷…
東京京橋のギャルリー東京ユマニテbisで今実佐子展が開かれている(7月8日まで)。今は1991年東京都生まれ、2014年に筑波大学芸術専門群総合造形領域を卒業し、2016年同大学大学院総合科学研究科博士前期課程を修了している。2014年につくば市で初個展、都…
東京京橋のギャラリーなつかで狩野涼風展「-asobi-」が開かれている(7月8日まで)。狩野は1998年東京都生まれ、2021年東海大学教養学部芸術学科美術学課程を卒業し、2023年同大学芸術学研究科造形芸術専攻を修了している。学外での個展は初めてとなる。 …
東京京橋のギャラリー川船で恒例の「夏期入札展示会」が始まった(7月8日まで)。 入札の方式は「二枚札方式」、これは入札カードに希望価格の上値(上限)と下値(下限)の二つの価格を書いて入札するもの。他に入札者のない場合は下値で落札する。上値が…
岡野原大輔『大規模言語モデルは新たな知能か』(岩波科学ライブラリー)を読む。副題が「ChatGPTが変えた世界」、まさに今話題のチャットGPTを取り上げたものだ。チャットGPTは2022年11月に登場し、公開から2か月間で全世界の月刊利用者が1億人に達した極…
東京銀座の銀座FBIギャラリーで足立篤史個展が開かれている(7月9日まで)。足立は1988年横浜生まれ、2014年に東京造形大学美術学部彫刻専攻を卒業。2013年麻布十番画廊で初個展。以来Jinenギャラリーやボヘミアンギルド、BankARTなどで個展を開いてきた。…
東京入谷のいりや画廊で飯島祐奈展が開かれている(7月8日まで)。飯島は1995年東京都生まれ、2018年女子美術大学芸術学部美術学科立体アート専攻卒業、2021年同大学大学院美術研究科博士前期課程美術専攻立体芸術研究領域を修了している。2020年、「第3回…
桑原武夫『文明感想集』(筑摩書房)を読む。1970年代前半頃あちこちに描いたエッセイを集めたもの。「今西錦司について」は今西の全集のための解説だが、今西の偉大さをよく示している。でも20年以上前に今西の孫弟子にあたる京都大学の昆虫学者に会ったと…
東京銀座のギャラリー惣で横田節子展が開かれている(7月1日まで)。横田は群馬県生まれ、今年88歳になるという。60歳から絵を描き始め、70歳でギャラリー汲美で初個展、最近は毎年ギャラリー惣で個展を開いている。 ギャラリー汲美で個展を開いたとは、オ…
東京銀座のギャラリー58でハモニカ佐藤展が開かれている(7月1日まで)。佐藤は1951年高知県生まれ、1971年航空高専機械工学科を修了している。最近はK’sギャラリーやギャラリーQ、ギャラリー58などで個展を開いている。 ギャラリーに添付されていた佐藤の…
東京銀座の巷房・1で吉田公美展「repeat」が開かれている(7月1日まで)。吉田公美は2002年に武蔵野美術大学大学院を修了している。ここ巷房のほかギャラリー58で個展を重ねてきた。 「窓とドア」 ギャラリーの中央に細長い階段が床から天井まで続いてい…
桑原武夫『思い出すこと忘れえぬ人』(講談社文芸文庫)を読む。桑原の出生時から旧制高校1年の夏休みまでを記した著者唯一の自叙伝だという。桑原は第一流の学者であるが、とりわけ劇的な生涯は送っていない。しかも旧制高校1年までの自伝だから、とりわ…
中央公論新社 編『対談 日本の文学 わが文学の道程』(中公文庫)を読む。1960年代の後半に中央公論社から『日本の文学』全80巻が刊行された。その月報の対談を編集したもの、全3巻で刊行予定の2冊目。29篇が収録されている。 武者小路実篤と本多秋五が対…
東京日本橋小舟町のガルリH(アッシュ)で木村桃子展「袋を積む」が開かれている(7月1日まで)。木村は1993年東京都生まれ、2017年に武蔵野美術大学造形学部彫刻科を卒業し、2019年に同大学大学院造形研究科修士課程美術研究彫刻コースを修了している。20…
高見澤潤子『兄 小林秀雄』(新潮社)を読む。小林秀雄の妹潤子はマンガ『のらくろ』の作者田河水泡と結婚して高見澤潤子となった。兄を深く尊敬していて、小林秀雄が亡くなった2年後、雑誌『新潮』に兄の思い出を連載する。 妹しか知らないプライベートなエ…
東京銀座のギャラリーQで李晶玉展「BLUEPRINT」が開かれている(7月1日まで)。李は1991年東京都生まれ、2018年に朝鮮大学校研究院総合研究科美術専攻課程を修了している。2018年にeitoeikoで初個展、ギャラリーQでは3回目、ほかに原爆の図丸木美術館でも…
東京銀座のギャラリーゴトウで「アート・オブ・オーストラリア展」が開かれている(6月24日まで)。このアート・オブ・オーストラリア展というのは、実はアボリジニアート展なのだ。アボリジニという言葉が分かりにくいからとこんなタイトルにしたのだろう…