2021-01-01から1年間の記事一覧

ギャラリーなつかの酒井香奈展を見る

東京京橋のギャラリーなつかとCross View Artsで酒井香奈展「きのう、きょう、あした」が開かれている(12月11日まで)。酒井は1969年茨城県生まれ、1992年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業、1994年同大学大学院造形研究科美術専攻油絵コースを修了して…

ギャラリー檜Fのシマヅヨウ彫刻展を見る

東京京橋のギャラリー檜Fでシマヅヨウ彫刻展が開かれている(12月4日まで)。シマヅは1962年兵庫県生まれ、1986年に武蔵野美術短期大学専攻科を修了している。1986年より個展を続けているという。最近はここギャラリー檜Fで開いている。 今回のテーマは「泡…

熊野純彦『戦後思想の一断面』を読む

熊野純彦『戦後思想の一断面』(ナカニシヤ出版)を読む。副題が「哲学者廣松渉の軌跡」というもの。マルクス主義哲学者で、マルクス、エンゲルスの『ドイツ・イデオロギー』に関する新編集をまとめ、マルクスの後期思想「物象化論」を重視し、マッハ研究と…

東京画廊+BTAPの李鎮雨Lee Jin Woo展を見る

東京銀座の東京画廊+BTAPで李鎮雨Lee Jin Woo展が開かれている(12月25日まで)。李は1959年韓国ソウル生まれ、1983年に韓国の世宗大学を卒業後、1986年に渡仏し、パリ第8大学造形美術学ならびにパリ高等美術大学(材料学研究)を卒業、現在はパリを拠点に…

アートフロントギャラリーの浅見貴子展を見る

東京代官山のアートフロントギャラリーで浅見貴子展が開かれている(12月5日まで)。浅見は1964年埼玉県生まれ、1988年に多摩美術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業している。1992年に藍画廊で初個展。その後各地で何度も個展を開いている。またアーティ…

山本弘の作品解説(102)「ひまわり」

山本弘「ひまわり」、油彩、F4号(24.2cm×33.3cm) 制作年不詳。実は30年近く前買ってくれた人がいて、それ以来見る機会を失った。これも古い写真からスキャンしているが、色はかなり濃くなっているのではないか。 このひまわりは枯れかけているのだろう。…

日本橋高島屋S.C.本館6階 美術画廊Xの松本陽子展「熱帯」を見る

東京日本橋の高島屋S.C.本館6階 美術画廊Xで松本陽子展「熱帯」が開かれている(11月29日まで)。松本は1936年東京都生まれ、1960年に東京藝術大学美術学部油画科を卒業しているベテラン画家だ。1991年に国立国際美術館で個展を、2005年に神奈川県立近代美…

いりや画廊の洞山舞展を見る

東京上野のいりや画廊で洞山舞展が開かれている(11月27日まで)。洞山は1992年岐阜県生まれ、2017年に多摩美術大学彫刻学科を首席で卒業している。2020年に多摩美術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了している。大学も大学院も首席卒業だった。2018年にい…

工房親の「紙を想う」の作間敏宏を見る

東京広尾の工房親で「紙を想う」展が開かれている(11月28日まで)。一条美由紀、クボタタケオ、小林翼、作間敏宏、中谷真理子の5人の作家が出品している。このうち作間敏宏を紹介したい。 作間は1957年宮城県生まれ、1981年に東京藝術大学大学院を修了して…

ボリス・ランコシュ監督作品『ソラリスの著者』を見る

ボリス・ランコシュ監督作品の映画『ソラリスの著者』を東京都写真美術館で見る。『ソラリス』の著者とはポーランドのSF作家スタニスワフ・レムのこと。これはレムを巡るドキュメンタリ・フォルムだ。今年がスタニスワフ・レム生誕100周年記念になる。 映画…

高橋純 編訳『高田博厚=ロマン・ロラン往復書簡』を読む

高橋純 編訳『高田博厚=ロマン・ロラン往復書簡』(吉夏社)を読む。副題が「回想録『分水嶺』補遺」とあり、高田博厚の回想録『分水嶺』を補完する内容。 彫刻家高田博厚は戦前の1931年(昭和6年)に渡仏し、以来1957年(昭和32年)に帰国するまで26年間…

小田急デパート新宿本店美術画廊の半田強展を見る

東京新宿の小田急デパート新宿本店10階美術画廊で第22回半田強展が開かれている(11月23日まで)。半田は1948年、山梨県笛吹市石和町生まれ。1970年に国画会展に初出品し、以来毎年出品している。1979年に小田急百貨店新宿店で個展をし、以後現在まで隔年で…

うしお画廊の森岡純展―時を紡ぐ―を見る

DM葉書 東京銀座のうしお画廊で森岡純展―時を紡ぐ―が開かれている(11月20日まで)。森岡は今年71歳、東京藝術大学を卒業している。 森岡はキャンバスに和紙や布を貼って複雑なマチエールを作っている。今回、厳しい感じの抽象画が並べられている。しかし、…

Stepsギャラリーの霜田誠二展「末世の誇り」を見る

東京銀座の Stepsギャラリーで霜田誠二展「末世の誇り」が開かれている(11月20日まで)。霜田は1953年長野県生まれ、世界的に活躍するパフォーマンスアーティストで、長くNIPAFを組織し、特にアジア各地にパフォーマンスアートを普及した功績は大きい。美術…

藍画廊の峯岸千絵展「あらわれありふれた形」を見る

東京銀座の藍画廊で峯岸千絵展「あらわれありふれた形」が開かれている(11月20日まで)。峯岸は1976年生まれ、現在千葉に住んでいる。1999年東京造形大学造形学部デザイン科卒業。2005年にギャラリー現で初個展、以来ギャラリー現で個展を続けていたが、ギ…

ギャルリー東京ユマニテbisの石井紀湖展―森の月―を見る

東京京橋のギャルリー東京ユマニテbisで石井紀湖展「―森の月―」が開かれている(11月20日まで)。石井は東京藝術大学彫刻科を卒業し、大学院を修了している。ギャラリー山口やみゆき画廊、最近ではうしお画廊やここギャルリー東京ユマニテbisで個展を繰り返…

高田博厚『分水嶺』を読む

高田博厚「ロマン・ロラン像」 高田博厚『分水嶺』(岩波現代文庫)を読む。彫刻家高田博厚の自伝。これが大変面白かった。高田は1931年、30歳のとき妻子を日本に残したままフランスに留学する。そのまま戦争を挟んで1957年まで27年間帰国しなかった。戦争中…

無人島プロダクションの風間サチコ展「ディスリンピアン 2021」を見る

東京墨田区江東橋の無人島プロダクションで風間サチコ展「セメントセメタリー」が開かれている(11月20日まで)。風間は1972年東京生まれ、1996年武蔵野美術学園版画研究科を修了している。1998年にギャラリー山口で初個展、その後、ギャラリー手、マキイマ…

川上弘美の選んだSF短篇

SF

毎日新聞の「なつかしい一冊」に川上弘美が数冊のSF短篇を選んでいる(2021年10月23日付)。 ……なつかしい本は何冊もあるが、短篇が好きなので、1冊の本というよりも、数冊の中の短篇をそれぞれ思う。小説を書く今の自分の中に、それらの短篇はすっかりしみ…

千葉成夫『増補 現代美術逸脱史』を読む

千葉成夫『増補 現代美術逸脱史』(ちくま学芸文庫)を読む。副題が「1945~1985」とあり、戦後の日本現代美術を総括したもの。さらに「増補」とあるように、その後の展開を100ページ充てて紹介している。 「逸脱史」と題しているように、「画壇」については…

コバヤシ画廊の村山隆治展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で村山隆治展が開かれている(11月13日まで)。村山は1954年茨城県生まれ、1980年に東京芸術大学大学院美術研究科を修了している。その後、ギャラリー山口やギャラリー手、ギャラリー21+葉などで個展を繰り返した後、2007年からは毎…

ガルリSOLの元木孝美展「horizon」を見る

東京銀座のガルリSOLで元木孝美展「horizon」が開かれている(11月20日まで)。元木は1975年神奈川県生まれ、2003年に東北芸術工科大学大学院芸術工学研究科を修了している。2014年から東北芸術工科大学講師を努める。 作家のステートメント、 私は物は周り…

沢木耕太郎『旅の窓』を読む

沢木耕太郎『旅の窓』(幻冬舎)を読む。沢木耕太郎が旅の途中で撮った写真に短い文章を付けたもの。雑誌『VISA』に連載したものをまとめている。沢木はルポライターだから「私は写真の専門家ではない。たまに外国に行くときカメラを持ち、撮ってくるという…

DOKAコンテンポラリー・アーツの浜田浄・湯村光展を見る

東京南青山のDOKAコンテンポラリー・アーツで「絵画と彫刻の調和」浜田浄・湯村光展が開かれている(11月13日まで)。ここでは浜田浄についてのみ紹介する。浜田は1937年高知県出身、1961年に多摩美術大学美術学部油画専攻を卒業している。2015年には練馬区…

ポルトリブレ デ・ノーヴォの山崎康誉展を見る

(参考)宇フォーラム美術館に出品した大作 東京高円寺のポルトリブレ デ・ノーヴォで山崎康誉展が開かれている(11月15日まで)。山崎は1952年東京生まれ、1978年に東京学芸大学大学院を修了している。その後バングラデシュ国立芸術大学へ留学してリトグラ…

木の葉画廊の菅谷文雄展を見る

東京神田の木の葉画廊で菅谷文雄展が開かれている(11月10日まで)。菅谷は1951年茨城県生まれ、八木沼笙子に師事している。1975年よりギャルリーヴィヴァンや木の葉画廊、永井画廊など多くのギャラリーで個展を行ってきた。菅野は枯木や枯花などを精密に描…

ウィリアム・アイリッシュ『夜は千の目を持つ』を読む

小曽根真の初期のアルバム『スプリング・イズ・ヒア』を持っている。小曽根は好きなジャズ・ピアニストだが、このアルバムが一番好きだ。中に「夜は千の目を持つ」が入っている。コルトレーンやソニー・ロリンズも演奏しているジャズのスタンダード・ナンバ…

ギャラリー椿の夏目麻麦個展を見る

東京京橋のギャラリー椿で夏目麻麦個展が開かれている(11月13日まで)。夏目は1998年に多摩美術大学大学院を修了している。その年にギャラリーQで初個展、以後ベルギーや東京の西瓜糖、藍画廊、Porte de Paris、ギャラリー椿などで個展を行っている。ギャラ…

ストライプハウスギャラリーの小堀令子展を見る

東京六本木のストライプハウスギャラリーで小堀令子展が開かれている(11月14日まで)。小堀は東京生まれ、1970年武蔵野美術大学を卒業している。祖父は著名な日本画家小堀鞆音で、鞆音は安田靫彦の師だった。令子は現在立軌会会員で、個展は御茶の水画廊、…

秋のバラ

秋のバラが咲いている。花屋にもバラの花が並んでいる。実はヨーロッパで愛でられたバラは春にしか咲かなかった。秋に咲くバラは比較的新しいのだ。大場秀章『バラの誕生』(中公新書)によると、18世紀に中国のコウシンバラがヨーロッパにもたらされた。こ…