2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

池田嘉郎『ロシア革命』を読む

池田嘉郎『ロシア革命』(岩波新書)を読む。副題が「破局の8か月」とあり、類書と異なり2月革命から10月革命までの具体的な政治の動きをテーマにして、それを破局に至る過程として描いている。沼野充義の書評が毎日新聞に掲載された(2017年3月5日)。その…

アートギャラリー道玄坂の山本弘展始まる

月曜日から東京渋谷のアートギャラリー道玄坂で山本弘展が始まった。今日は小品の一部を紹介する。 「祠」(6F)と「道」(6F)、どちらも1977年の制作。これだけ異なる作風を同じ年に描いている 「河童」(10F)と「カラス」(6F)、「カラス」は1977年制作…

アートギャラリー道玄坂の山本弘展始まる

昨日から東京渋谷のアートギャラリー道玄坂で山本弘展が始まった。その一部を紹介する。 「芝塀」10F(左)と「種畜場」30F 「骨の踊り」50F(左)と「霜張」10F 「骨の踊り」の中の猫 「銀杏」20F(左)と「題不詳」50F 「母子」15F(左)と「題不詳」50F …

アートギャラリー道玄坂の山本弘展、展示完了

東京渋谷のアートギャラリー道玄坂で今日より山本弘展が始まる。F4号からF50号まで40点もの作品を並べている。37歳のときの中期の作品から、最晩年の作品まで展示した。その間ほぼ10年間だが、山本の幅広い作風が見ていただけるだろう。 珍しいのは「裸婦」…

東大出版会のPR誌『UP』の「すゞしろ日記」ほかを読む 

4年ほど前、佐藤信主宰の鷗座公演で、ベルナール=マリ・コルテスの芝居『森の直前の夜』を見た。佐藤の演出は実験的で、役者がひとり舞台中央に立ったまま2時間近く喋りつづけるというものだ。上半身は動かすものの、足は1カ所に立ったままだった。ほとん…

日本大学文理学部 編『知のスクランブル』を読む

日本大学文理学部 編『知のスクランブル』(ちくま新書)を読む。副題が「文理的思考の挑戦」で、日本大学文理学部の18人の研究者が、自分の専門領域を語っている。哲学、歴史、国文学、中国語中国文化学、英文学、ドイツ文学、社会学、社会福祉学、教育学、…

帰燕せつなき高さ飛ぶ

月曜日26日から東京渋谷の道玄坂ギャラリーで山本弘展が始まる。(7月2日まで)。もう10年以上前、ギャラリー汲美での個展のために書いた山本弘の思い出の文章を再録する。 帰燕せつなき高さ飛ぶ――山本弘、わが敬愛する画家の思い出―― 山本弘に初めて会った…

山本弘展が始まる

月曜日26日から東京渋谷の道玄坂ギャラリーで山本弘展が始まる。(7月2日まで)。個展のために用意したちらしの一部をここに掲載する。 "虚無の画家" "風狂無頼の画家" 山本弘展に寄せて アートギャラリー道玄坂で山本弘展が開かれます。1981年に51歳で亡く…

吉行淳之介『娼婦の部屋・不意の出来事』を読み直す

吉行淳之介『娼婦の部屋・不意の出来事』(新潮文庫)を数十年ぶりに読み直した。ただいくつかの短篇はいろんなアンソロジーに収録されているので、何度も読み直したものもある。 吉行淳之介は大江健三郎、川端康成とともに若い頃夢中になって読んだ作家だ。…

アートギャラリー道玄坂で山本弘展が開かれる

東京渋谷のアートギャラリー道玄坂で山本弘展が開かれる(6月26日―7月2日)。今年の2月に東京四谷のTS4312ギャラリーで山本弘展が開かれたが、続けて今月末から渋谷の画廊でも個展が開かれることになった。DM葉書の文面から、 山本弘は長野県飯田市の画家、5…

ギャラリーせいほうの諸貫きよ恵展「colorful」を見る

東京銀座のギャラリーせいほうで諸貫きよ恵展「colorful」が開かれている(6月23日まで)。諸貫は1986年東京生まれ。2009年に武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン科金工専攻を卒業している。 2010年にトキ・アートスペースで初個展、以後トキ・アートス…

岡崎裕美子『発芽 歌集』を読む

岡崎裕美子『発芽 歌集』(ながらみ書房)を読む。岡井隆の弟子にあたる若い歌人。といってもこの歌集は2005年出版だからすでに12年経ったことになる。 したあとの朝日はだるい 自転車に撤去予告の赤紙は揺れ 年下も外国人も知らないでこのまま朽ちてゆくの…

井上ひさし『戯作者銘々伝』を読む

井上ひさし『戯作者銘々伝』(ちくま文庫)を読む。清住白河の古本屋しまブックスで買ったもの。ここは小さな店舗ながら良い本が揃っている。無人島プロダクションの並びにある。他の古書店で聞いたら、あそこは古書組合に入っていないので、組合を通じてま…

東京都美術館の「精神の〈北〉へ」を見る

東京上野の東京都美術館ギャラリーAで「精神の〈北〉へ」が開かれている(6月18日まで)。企画者の丸山芳子がちらしに書いている文章の一部を引く。 ……「精神の〈北〉へ」は、各人にとっての「北方的精神」とは何かを探り、世界的な視野でその共感を図ろうと…

ギャラリーアビアントの古茂田杏子・佐藤草太 二人展を見る

東京浅草のギャラリーアビアントで「古茂田杏子・佐藤草太 二人展」が開かれている(6月21日まで)。二人を結びつけたのは今は亡き作家西村宣造だったという。ここでは古茂田杏子を紹介したい。古茂田杏子は1946年生まれ、両親とも画家で、父が古茂田守介、…

松浦理英子の新作『最愛の子ども』を読む

松浦理英子の新作『最愛の子ども』(文藝春秋)を読む。これも奇妙な本だ。女子高生たちのグループが描かれている。彼女たち以外は教師たちが少し、母親たちが少し描かれるだけで、男子高生の関わり方もわずかだけだ。共学だけれど、女子と男子は別クラスに…

うしお画廊の淀井彩子展を見る

東京銀座のうしお画廊で淀井彩子展が開かれている(6月24日まで)。淀井は1966年に東京芸術大学美術学部油画科を卒業し、1968年に同大学大学院油画専攻を修了している。その後フランス政府給費留学生としてパリに留学。2011年まで青山学院女子短期大学芸術学…

呉座勇一『応仁の乱』を読む

呉座勇一『応仁の乱』(中公新書)を読む。昨年10月に発行されたが、またたくうちにベストセラーになり、もう30万部ほどは出ているのではなかったか。たとえ新書だとはいえ、どうしてこんなに硬い歴史の本がそんなに売れているのか。 大澤真幸が朝日新聞に書…

ギャラリー砂翁の石垣むつみ展を見る

東京日本橋本町のギャラリー砂翁で石垣むつみ展が開かれている(6月16日まで)。石垣は東京生まれ、文化学院デザイン科・芸術科を修了している。1993年に目黒のギャラリークラマーで個展を行い、その後この砂翁や空想ガレリア、ギャラリーYORI、ギャラリー紡…

金井美恵子の新作『カストロの尻』を読む

金井美恵子の新作『カストロの尻』(新潮社)を読む。題名をよく見ると「スカトロの尻」では断じてなかった。スタンダールの『カストロの尼』を間違えて読んでいる男の話だった。いつもどおりの奇妙な小説、短篇連作である。前後にエッセイ2つを置き、その…

はてなダイアリーの新規受付終了という発表

私が現在利用しているはてなダイアリーHatena Diaryのブログサービスについて、7月3日をもって新規開設の受付を終了するとの発表があった。新規開設者が減ってきているというのがその理由だ。既存の利用者はそのまま続けられるというが、アクセス解析などの…

美術家柴田和とはどんな人物か

今年2月から3月にかけて東京銀座の中和ギャラリーで柴田和 今昔展PART IIが開かれた(2月27日〜3月4日)。柴田の高校生のときの作品から最新の作品までが並んでいた。柴田は1934年生まれだから今年83歳になる。その高校生のときの作品の完成度の高さに驚いた…

ギャラリー川船の恒例「夏期正札市」が始まった

東京京橋のギャラリー川船で恒例の「夏期正札市」が始まった。150点近い作品が並べられている。長谷川利行、脇田和、古茂田守介、菅野圭介、鳥海青児、山下菊二、小山田二郎、中村直人、福沢一郎、野田裕示、熊谷守一などそうそうたる名前が見られる。そして…

山本弘の作品解説(57)「童」

山本弘「童」、油彩、F4号(33.3cm×24.2cm) 1976年制作、46歳のときの制作。子どもが描かれている。頭がずいぶん大きく見えるが、あるいは端午の節句の新聞紙で作った兜をかぶっているのかもしれない。体と両足の外側などに白い絵具をパレットナイフで塗っ…

大野晋・丸谷才一『日本語で一番大事なもの』を読む

大野晋・丸谷才一『日本語で一番大事なもの』(中公文庫)を読む。分かりにくい題名だが、本書は古文の主に助詞と助動詞について大野と丸谷が語っている。つまり日本語文法の本なのだ。文法の本だといえば、ややこしくてうっとうしいものだという印象を持つ…

上野誠『万葉集から古代を読みとく』を読む

上野誠『万葉集から古代を読みとく』(ちくま新書)を読む。「はじめに――この本のめざすところ」で映画『君の名は。』を見たところから始めている。そして、この本は「古代社会において歌とは何か、古代社会において『万葉集』とは何であったのか、を考える…

半藤一利『文士の遺言』を読む

半藤一利『文士の遺言』(講談社)を読む。副題が「なつかしき作家たちと昭和史」とあり、表2の惹句にも「昭和史としての作家論!」とある。司馬遼太郎に関するエピソード、松本清張に関するそれ、そして永井荷風、森鴎外、坂口安吾、志賀直哉、吉井勇、丸…