2015-01-01から1年間の記事一覧

ガレリア・グラフィカbisの山本圭子展がおもしろい

東京銀座のガレリア・グラフィカbisで山本圭子展が開かれている(11月28日まで)。山本は1982年静岡県生まれ、2005年に東北芸術工科大学彫刻コースを卒業し、2007年に同大学大学院彫刻領域を修了している。今回が初個展だという。 画廊に足を踏み入れると、…

なびす画廊の瀧田亜子展を見る

東京銀座のなびす画廊で瀧田亜子展が開かれている(11月28日まで)。瀧田は1972年東京都生まれ。なびす画廊での個展は今年の4月に続いて今回で19回目になる。最近は春秋と年に2回も個展を行っていて、作品は紙に顔料で描いている。瀧田は昔から書を学び、…

コバヤシ画廊の野沢二郎展「遠ざかる風景」を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で野沢二郎展「遠ざかる風景」が開かれている(11月28日まで)。野沢は茨城県生まれ、1982年に筑波大学大学院を修了している。これまで「VOCA展'97」や同年の「バングラディシュ.アジア美術ビエンエーレ」に参加し、2012年はDIC川村…

『吉岡実散文抄』を読む

『吉岡実散文抄』(思潮社)を読む。吉岡は代表作「僧侶」で知られている難解な詩を書く戦後詩人。その難解さは半端ではない。全部で9連ある「僧侶」の一部を引く。 1 四人の僧侶 庭園をそぞろ歩き ときに黒い布を巻きあげる 棒の形 憎しみもなしに 若い女…

流れ星に願いを

朝日新聞の朝日歌壇に流れ星に願いをかける歌が載っている(11月23日)。 流れ星が消えないうちに願いごとひとつ言えるかな小さな夢の 作者は名古屋市の中村桃子、馬場あき子が選んでいる。その答え「無理です」。 以前『Weeklyぴあ』に「はみだしYouとPia」…

小林恭二『短歌パラダイス』を読む

小林恭二『短歌パラダイス』(岩波新書)を読む。同じ著者の『俳句という遊び』『俳句という愉しみ』(いずれも岩波新書)の続編。1997年初版で18年前の出版。今度は短歌を取り上げて、平安時代に行われた歌合(うたあわせ)を再現している。 歌合というのは…

小林恭二『俳句という愉しみ』を読む

小林恭二『俳句という愉しみ』(岩波新書)を読む。この前に読んだ同じ著者の『俳句という遊び』の続編。20年前に出版され、やはり当時面白く読んだ記憶がある。副題が「句会の醍醐味」とあり、前著同様当時1流の俳人たちを今度は奥多摩の青梅線の御嶽駅にあ…

ギャラリー1/fの菅野美榮展「いきるかたち・ははこぐさ」が美しい

東京お茶の水のギャラリー1/fで菅野美榮展「いきるかたち・ははこぐさ」が開かれている(11月28日まで)。タイトルのようにハハコグサ(母子草)の無数の花を空中に浮かべている。花は大きな宝石のような形を空中に作っている。それはハハコグサの花を、絹糸…

小林恭二『俳句という遊び』を読む

小林恭二『俳句という遊び』(岩波新書)を読む。24年前に出版され、私も当時面白く読んだ記憶があるが、今回再読して改めて面白さを再確認した。副題が「句会の空間」とあり、当時一流の俳人8人を甲府に集めて句会を催したその記録だ。参加した俳人は、飯田…

みゆき画廊の大沢昌助展を見る

東京銀座のみゆき画廊で大沢昌助展が開かれている(11月28日まで)。大沢昌助は1903年に生まれている。1997年に93歳という高齢で亡くなった。没後18年になる。 大沢は東京美術学校(東京芸大)に入学した。1級上に猪熊弦一郎、山口長男、荻須高徳、岡田謙三…

田村隆一『若い荒地』を読む

田村隆一『若い荒地』(講談社文芸文庫)を読む。田村は戦後の日本現代史の第一人者、その初期の詩集『四千の昼と夜』は現代詩の金字塔であることを誰も疑わないであろう。戦後すぐの頃田村や鮎川信夫、中桐雅夫、北村太郎、黒田三郎、三好豊一郎などが参加…

ギャラリーなつかの内平俊浩展が良い

東京京橋のギャラリーなつかで内平俊浩展が開かれている(11月21日まで)。内平は1960年石川県生まれ、1982年に名古屋芸術大学美術学部彫刻科を卒業している。1987年から個展を始め、今回が4年ぶりの21回目に当たる。 内平はいつも一見素朴な木彫作品を作っ…

平林敏彦『戦中戦後 詩的時代の証言』を読む

平林敏彦『戦中戦後 詩的時代の証言』(思潮社)を読む。題名に「1935―1955」と付されているように、1924年生まれの詩人が戦中から戦後にかけての詩人たちの軌跡を自分の文学活動と絡めて語ったもの。索引で数えると、登場人物は480人近くもいる。それらの人…

儀保克幸の彫刻がすばらしい

東京浅草橋のマキイマサルファインアーツで儀保克幸展が開かれている(11月15日まで)。儀保は1967年、大阪生まれ。1990年に東京造形大学美術類彫刻を卒業している。その後、ガルリSOLやギャラリー椿GT2、プラザギャラリーなどで個展を行っている。 今回は木…

アキバタマビ21の田島大介の作品がすごい

東京千代田区外神田にある3331アーツチヨダの中にあるアキバタマビ21で「捨象展」が開かれている(11月29日まで)。これは4人の教授が4人の若い作家を選んで企画展示しているもの。愛知県立芸術大学の関口敦仁が田島大介を推薦し、以下中原浩大が迎英里子…

『芥川竜之介俳句集』を読んで

加藤郁乎 編『芥川竜之介俳句集』(岩波文庫)を読む。明治34年、芥川満9歳のときの俳句から昭和2年35歳で亡くなるまでの1,159句と、そのほか11の連句と川柳が集められている。 9歳で作った句が次のもの。 落 葉 焚 い て 葉 守 り の 神 を 見 し 夜 か な …

養老孟司と林真理子の対談

『週刊朝日』に「マリコのゲストコレクション」という連載対談がある。林真理子が毎回異なるゲストと対談している。今回の相手は『バカの壁』の養老孟司だ(11月20日号)。『バカの壁』(新潮新書)はトータルで440万部売れたという。印税がすでに3億円を超…

出久根達郎『万骨伝』を読む

出久根達郎『万骨伝』(ちくま文庫)を読む。副題が「饅頭本で読むあの人この人」とある。タイトルの万骨は漢詩の一節「一将功成りて万骨枯る」から採っている。縁の下の力持ちであり、上役の手柄のために犠牲になった部下のことを指す。それらのほとんど無…

アートプログラム青梅2015を見る(学生作品)

奥多摩の青梅市でアートプログラム青梅2015「線を超えるか−溶け込む違和感−」が開かれている(11月15日まで)。これは3つの大学の学生たちの展示で、市内各所に作品が設置されていて、地図を見ながら探して歩くことになる。プロの作家たちが青梅市立美術館…

アートプログラム青梅2015を見る

奥多摩の青梅市でアートプログラム青梅2015「感性を開く --- 一人ができること」が開かれている(11月15日まで)。これはプロの作家たちの展示で、青梅市立美術館、旧稲葉家住宅、青梅織物工業協同組合、都立青梅総合高校、吉川英治記念館などを会場としてい…

動物虐待?

吉本隆明の「斎藤茂吉」を拾い読みしていたら、吉本が引用している茂吉の短歌に私の字で書き込みがしてあった。40年ほど前に読んだものだから、その頃の書き込みだ。まず、その短歌。 何ぞもとのぞき見しかば弟妹らは亀に酒をば飲ませてゐたり 私の書き込み…

上原善広『被差別のグルメ』を読む

上原善広『被差別のグルメ』(新潮新書)を読む。以前読んだ同じ著者の『被差別の食卓』の続編的な書。有意義でとても興味深い。上原は自分が被差別部落=同和地区出身であることを隠すことなく、そのことを前向きに語っていく。作家の中上健次にならって同…

アートスペース羅針盤の花井このみ展を見る

東京京橋のアートスペース羅針盤で花井このみ展が開かれている(11月7日まで)。花井は1982年鹿児島県奄美大島生まれ、2005年に和光大学表現学部芸術学科を卒業している。2010年に神奈川県のカフェパンセで初個展、都内での個展は今回が初めてとなる。 花井…

コバヤシ画廊の西成田洋子の新作を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で西成田洋子展「記憶の領域2015」が開かれている(11月7日まで)。西成田は1953年茨城県生まれ、1987年より東京、水戸、ニューヨークなどでもう30回以上も個展を開いている。作品は大きな奇妙な立体で、古着などを縫い合わせて造形…

東京下町の海抜

東京下町の海抜。 東京メトロ日比谷線 小伝馬町駅:海抜4.7m 東京メトロ日比谷線 秋葉原駅:海抜4.6m 都営地下鉄新宿線 岩本町駅:海抜3.5m 東京メトロ日比谷線 人形町駅:海抜3.5m 墨田区両国4丁目(京葉道路沿い):海抜1m 墨田区立花1丁目 都立公園:海…

櫻木画廊の中津川浩章展「ここにあって、ここにないもの」を見る

東京上野桜木の櫻木画廊で中津川浩章展「ここにあって、ここにないもの」が開かれている(11月8日まで)。副題がドローイング&ペインティング、3点のタブローのほか、50点のドローイングが展示されている。 中津川は1958年静岡県生まれ。和光大学で学び、…

辻惟雄『若冲』を読む

辻惟雄『若冲』(講談社学術文庫)を読む。カラー図版が豊富に使われているので、やや厚い用紙を用いているため350ページだが25mmの厚さを持っている。本書・学術文庫版のあとがきによると、原本は1974年に美術出版社から発売された。若冲の《動植綵絵》全幅…

伯父の70年祭と義母の短歌

カミさんの伯父宏さんは昭和19年海軍技術将校としてボルネオ・タラカン島に赴任し石油掘削の仕事に従事していた。しかし終戦後同島で捕虜生活を送るなか、昭和20年10月14日に病気のため亡くなった。27歳だった。遺骨は帰ってこなかった。 もう十数年前カミさ…

群馬県立近代美術館で新井コー児展「新井コー児20年目の独り文化祭」を見る

高崎市にある群馬県立近代美術館で新井コー児展「新井コー児20年目の独り文化祭」が開かれている(12月20日まで)。新井は1973年群馬県高崎市生まれ。1996年多摩美術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業している。2000年に高崎シティギャラリーで初個展、2004…

ギャラリー川船の浜田浄展「重ねる・削る 2009−2014」を見る

東京京橋のギャラリー川船で浜田浄展「重ねる・削る 2009−2014」が開かれている(10月31日まで)。浜田は1937年高知県生まれ。1961年に多摩美術大学油科を卒業している。1964年、東京杉並区のおぎくぼ画廊で初個展、以来数多くの個展を開いている。 作品の多…