2007-01-01から1年間の記事一覧

魚と食材、ルビンの壺

友だちが釣りを始めた。彼女は渓流釣りで、ヤマメやイワナを狙っている。初心者なので釣り上げた時に腹を割いて内蔵を取り出すのが苦手だという。それを家に持ち帰り台所で水道水に漬けるともう平気になる。魚が食材に変わるから。 同じことを私も感じたこと…

中小企業の事業の承継について

やとわれ社長とはオーナー社長ではないことだ。オーナーは株主だ。やとわれ社長は株主から経営を委託されている。普通やとわれ社長は中小企業の社長のイメージだ。それは間違っていると独立行政法人中小企業基盤整備機構(虎の門)は言う。 上場していない中…

ギャラリーアポロの伝える「今年一年の美術界を振り返って」から

銀座1丁目のギャラリーアポロでは画廊主の秋山修さんの書くニュースペーパー「APOLLOMEDIATE」を毎月発行している。昨日届いた12月号のタイトルが「今年一年の美術界を振り返って」これが面白かった。 今年は一口に言って、”激動の年”だった。(中略)激動…

「砂の上の植物群」、そしてキスのテクニック

吉行淳之介の「砂の上の植物群」(新潮文庫)の主人公(伊木一郎)は推理小説を書こうと思っている。「その物語の主人公は、死病に罹った男と、傍を離れずに看病する若い妻である。」やがて死ぬ男は、男の死後いつか彼女を独占するはずの男に嫉妬を覚え、そ…

われのおにおとろえはてて

朝日歌壇の選者の馬場あき子に「鬼の研究」(ちくま文庫)とい著書がある。中世の能などにあらわれる鬼を分析して、鬼とは迫害され怨念をもった女だったという。 そのことを踏まえて、馬場あき子のこの短歌を読むと感慨深いものがある。 われのおにおとろえ…

散らし文の不思議

三上のブログは1日に何度も書き込まれる。また読者が多いのでやはり何度もコメントが付けられる。コメントはエントリーごとでなく、1日の末尾に付くので、新しいエントリーを読み、末尾へ戻ってコメントを読むということをしていて、「散らし文」を連想し…

{自然}山形県大鳥池に生息する謎の巨大イワナ

五百沢智也「地図を読む」(岩波書店)は文字通り地図の見方の本だが、唐突に巨大イワナのことが語られる。 山形県西部を流れる赤川、その源流大鳥川は大鳥池から流れ出ている。 以東岳から北西にのびる尾根には、大鳥池からまっすぐ登る登山道がついていて…

松浦理英子と橋本治

松浦理英子の新作「犬身」が出たので、古いがまだきちんと読んでなかった前作「裏ヴァージョン」(筑摩書房、最近文春文庫にもなった)を読んだ。以前きちんと読まなかったのは筑摩書房のPR誌「ちくま」に連載中に読んでいたためだ。松浦は好きな作家の一人…

要するに文化の違いにすぎないのだ

誰が書いていたのか、太平洋戦争で日本の捕虜になったイギリス兵が、日本軍から木の根を食べさせられた、捕虜虐待だと訴えた。それはゴボウの料理のことだった。 こちらはロシア語同時通訳者にして作家・エッセイストの米原万里が書いていたのか、それとも長…

人は何を見に行くのか

映画や芝居に人は何を見に行くのだろう。以前木冬社の公演には平幹二朗が客演していた。客席はいつも満員だった。木冬社の主宰者兼脚本家の清水邦夫の芝居は長い台詞が多い。木冬社の女優松本典子や平幹二朗の舞台での長いモノローグを聞くことは、まるでオ…

小林真理の猫の銅版画

先月26日に「猫の絵は難しい」というエントリーを書き、小林真理さんの銅版画を紹介した。もっと見たいというコメントをいただいたので小林さんの了解を得て別の作品を紹介する。 最初に「ねんねんむし」、猫がカタツムリになっている。小林真理オリジナルの…

長野県飯田市の美術意識

わが故郷、長野県飯田市の美術意識はどの程度だろう? 飯田市出身の有名画家はまず菱田春草、オノサト・トシノブ、仲村進、滝沢具幸あたりだろう。滝沢は日本画家、創画会の会員で現在飯田市美術博物館の館長だ。創画会は秋野不矩や上村松篁らが設立した由緒…

ねじめ正一「荒地の恋」を読んで、また猫山のこと

ねじめ正一「荒地の恋」(文芸春秋)を読む。北村太郎は1976年53歳の時親友の田村隆一の4人目の奥さん明子と付き合い始める。その頃から北村が1992年10月に69歳で亡くなるまでの北村太郎に関する恋愛を中心にした伝記。 北村太郎は戦後の現代詩をリードした…

今泉雄四郎さん、現代美術の「見る人」

私はもう15年来、銀座、京橋、その他の地域の画廊を回るのを週課(日課でなく週ごとだから)としている。およそ年間2,000件の個展やグループ展を見て回っている。しかし上には上があって、奇麻魔美術館を称する近藤実さんは年間4,000件、70歳近いのではない…

宮内勝典は佐原次郎だった

昔、日本読書新聞という週刊の書評紙があった。その新聞の別冊という形で「ドミュニケーション」というこれは月刊だったかの新聞が創刊された。もう35年ほど前ではないか。そこに佐原次郎というアメリカ在住らしい若い人が「アメリカアメリカ」とかいうエッ…

渇望の記憶

高校へ入って初めて本格的なSFを知った。レイ・ブラッドベリ「火星人記録(現在の火星年代記)」、ロバート・シェクリー「人間の手がまだ触れない」、アーサー・C. クラーク「幼年期の終わり」「都市と星」、ロバート・A. ハインライン「人形使い」、こんな…

ごめん、私がにぶかった

25年も経って不意に分かったことがある。当時10歳ほど年下の25歳くらいの女性デザイナーと二人で深夜まで残業したことがある。その時彼女が、私この前渋谷を歩いていたときナンパされて、それでやっちゃったんですよ、その後お互いに名前を言わなくて別れた…

志水辰夫「情事」を読んで

志水辰夫「情事」(新潮文庫)を読んだ。「行きずりの街」を読んで以来、志水は割合気に入ったミステリ作家で、その後読んだ「裂けて海峡」も「背いて故郷」も面白かった。ちょっとバイオレンスが入っていて、そこが私には余分だと思っていたけれど。ストー…

恥ずかしい言葉の話

先日話をしている時「くくりつけの家具が」と言ったら相手が「今何て言ったの?」そして開いた左手の上で何かを摘んだ形の右手をくるくる回して「括りつけるって言うのは、紐で縛り付けることよ、あなたの言うのは作りつけの家具でしょ」と言う。全くそのと…

坂口弘の新しい歌集「常しへの道」

以前、朝日新聞の朝日歌壇に掲載された坂口弘の短歌を紹介したことがある。 朝日歌壇に掲載された坂口弘の短歌I 朝日歌壇に掲載された坂口弘の短歌II 坂口弘は死刑が確定して、もう外部へ手紙を書くことを禁じられた。朝日歌壇で彼の短歌を見ることはもうな…

レズの詩人サッフォー

渋谷のスペイン坂は女の子が多い。安くて可愛い商品が揃ったショップがたくさんあるからだ。同様に新宿2丁目は男が多い。安いかどうかは知らないが可愛い男の子が多いからだ。男同士のカップルも歩いているし、マッチョな男が出演しているビデオを販売して…

山本弘の書(2)

Emmausさんが、山本弘の書を見たいと言われる。リクエストをいただけるなんてありがたい。とりあえずこの1点。 山本弘は酒が続いた後必ず寝込み(というか飲み続けて飲めなくなって倒れて寝込む)、何日か寝込んだ後起き出してきて最初に書を書いて手ならし…

大胆な会話をしたのだった

数年前、娘に聞いた。なんでお前には男友達がいないの? 私がまだ発情してないから、というのが彼女の答えだった。 そのことをある女性に話すと「さすが××さんの娘さんですね、自分が発情したら男ができると思っている。私は(大学を卒業して)会社に入って…

銀座ニコンサロンでの瀬戸正人展

銀座ニコンサロンで瀬戸正人写真展が開かれている(11月13日まで;大阪ニコンサロンでは11月22日〜27日)。タイトルが「binran」、台湾のビンロウ売りを撮っている。同じ写真展が数か月前、新宿御苑前のプレイスMという写真専門ギャラリーで開かれた。今回さ…

カラスは本当に賢い!

10月22日に「カラスの記憶力」とのエントリーを書いた。 http://d.hatena.ne.jp/mmpolo/20071022 ある日ベランダに置いたスミレの鉢に脂肪の塊が半ば埋めてあり、それを捨てた10日ほど後に鉢が荒らされていて、埋めたところを憶えているカラスが掘り返したの…

日雇い土方は平等だった

若い頃飯場に入って土方をしていたが、その前に立ちんぼをしていた。立ちんぼも土方で、日雇い土方の別名なのだ。私が行っていたのは東京新宿区は高田馬場にあるヤマだった。仕事をしたい人間と仕事の手配師が集まる場所をヤマと言う。渋谷にも山谷にもあっ…

偶然が作った優れたオブジェ

まだ秋山画廊が神田にあった頃、その近くで面白いものを見た。いや、単に工事風景なのだが、これが面白かったのだ。小さなコンクリートの塀を大きなハンマーで壊している。この作業を「ハツル」「ハツリ」とか言う。工事の途中、昼飯か何かで作業を中断して…

銀座キャノンギャラリーで加納典明展を見て

銀座キャノンギャラリーで加納典明展を見た。どんなに過激な写真かと期待して行ったのだったが裏切られた。その過激さはせいぜい苺を握りつぶしている写真程度なのだった。 加納典明は一時期きわどいエロチックな写真で注目を集めていた。竹書房から「月刊 T…

楽天のシステムに感心した

楽天のシステムの説明会に参加した。もし優れた商品があってそれを独占的に扱うことができ、ただ流通方法を持たないという条件なら、これは有効なシステムだと感じた。 楽天に出店すると月額数万円の出店料がかかる。また売上げの数%を差し引かれる。 楽天…

3人のイラストレーター

教育社の月刊誌「NEWTON」編集部の電話番号は外部に公開していません、どうして分かったのですか。「NEWTON」で使っているイラストレーターを紹介してほしいと思って電話したら、そう言われた。以前「NEWTON」に企画を提案したことがあって、その時直接編集…