2006-01-01から1年間の記事一覧

山本弘の絵(2)

山本弘の絵の第2弾です。 題不詳 種畜場(深い川霧が降りていて、乳牛がそれに包まれていた、と) 骨の踊り 臨終

岡本太郎

岡本太郎と言えば万博の太陽の塔だ。縄文土器の美を発見した岡本太郎が現代美術と縄文を合体させた巨大な作品だ。だが、これのどこがいいのだろう。 岡本太郎の油彩は初期から晩年まで似ている。制作態度が終始一貫していたのだと人は思う。針生一郎さんによ…

山本弘の絵(1)

山本弘の絵の写真を紹介します。 銀杏 川 酒飲む人 3号病棟 題不詳 老人 土の人 題不詳 傘 削道 削道 流木 日だまり(1972年)

植物の世界

東京渋谷区の東急デパート本店、そこから松濤美術館の方向に坂道を上っていく、その道路沿いの右側にその家がある。家というか、家の残骸というか。写真のようにびっしりと植物で覆われている。何か複雑な抵当物件なのだろう。こんな地価のバカ高そうな場所…

偉大な画家は下手な画家

3月14日の日記「小磯良平と山口長男」(id:mmpolo:20060314)にも書いたが、抽象の画家山口長男は絵が下手だった。 宇佐美圭司によれば、アメリカの抽象表現主義の大家バーネット・ニューマンも初期のドローイングは下手だったと言う(目黒区美術館の講演か…

「タンゴ・冬の終わりに」

シアターコクーンで「タンゴ・冬の終わりに」のマチネを見る。当日券を買うために2時間並んだ。前売りは先月発売開始30分で売り切れたのだった。 清水邦夫・作、蜷川幸雄・演出。22年前1984年の初演は衝撃的だった。台本も演出もいい。蜷川は清水と組むと良…

山本弘の書

山本弘の生活は毎日絵を描き続け、ついで酒浸りの日々をおくる。その内喀血したりして寝込む。回復するとまた絵を描き続ける。酒浸りになる。寝込むの繰り返しだったという。 酒を飲んでいる時以外は人に会わなかった。だから普通の人は酔っぱらっている弘さ…

朝日新聞の劇評「タンゴ・冬の終わりに」

清水邦夫作、蜷川幸雄演出コンビの代表作の一つがよみがえった。60〜70年代を共に過ごし、政治闘争の熱さと、挫折の苦さを共有した世代の思いが投影された戯曲である。だが今回、作り手と親子ほど年の離れた堤真一らが演じることで、作品は特定の時代から解…

新名作鑑賞講座……山本弘「箱」byワシオ・トシヒコ

17世紀オランダのフランス・ハルスは、デッサンをほとんどしなかったようだ。いきなり、カンヴァスへ向かうことが多かったらしい。1976(昭和51)年に制作された山本弘のこの油彩作品も同様、眼前の獲物を狙い定めて生け捕る。まるでハンターのように、生動…

周辺からは世界が見える

今から15年前、全農から依頼されて、全国の農協と全農のホストコンピュータをオンラインで結んで、農作物の病害虫や雑草を画像を使って検索し、その防除法を調べるためのシステムを調査するよう依頼された。 その際、農協での経費負担ができるだけ少ない方法…

エスタンプ

エスタンプとは何か? エスタンプとはフランス語では「版画」だが、日本語では「複製版画」を意味する。複製版画の対概念はオリジナル版画。 オリジナル版画は画家が版画を制作する目的で下絵を描き、版作りと刷り、最終チェックに至るまで作家自身で、また…

彫刻家内藤伸

先週の「開運!何でも鑑定団」に内藤伸の木彫の鳥が出品され高額の鑑定がされていた。 内藤伸は明治15年生まれの彫刻家で島根県の出身、帝国美術院の会員で昭和42年に亡くなった。 仕事の関係で内藤伸のお孫さんだという内藤一彦さんを知った。一彦さんは映…

小正月のオッカド棒と桃の信仰

植物学者の前川文夫に「日本人と植物」という岩波新書がある。それの3.が「小正月のオッカド棒と桃の信仰」と題された章だ。 小正月とは1月15日のことで、オッカド棒は小正月に山村で行事として作るものの一つだとある。 「オッカド棒は御門棒の意味で、カツ…

「文学全集を立ちあげる」

丸谷才一・鹿島茂・三浦雅士「文学全集を立ちあげる」(文藝春秋)が面白い。お勧めです。 3人が相談しながら世界文学全集全133巻、日本文学全集172巻を選ぶという架空の企画。3人ともよく読んでいて、知らない作家や知らない作品がいっぱい取り上げられる…

山の子のうた

小学校の頃授業で教わって何度も歌った「山の子のうた」を都会では誰も知らないので驚いた。 「山の子のうた」 坂下茂巳作詞・作曲 歌声が あの小道にひびけば あの森かげ あの谷間 山にこの歌 山の子は 山の子は 歌が好きだよ 雨が降り てるてる坊主(ぼうず…

永沢光雄死去

作家永沢光雄が11月1日死去した。肝障害で47歳だった。著書は「AV女優」「声をなくして」など。新聞の訃報欄にそうあった。 「AV女優」(文春文庫)は高橋源一郎がほめていたので読んだ。アダルトビデオに出演している女の子42人へのインタビュー集だ。彼女…

瞬間芸

最初にテーブルの上に水を一滴垂らしておきます。(できれば気付かれずに) 「瞬間芸です」と言って、広げたティッシュペーパーを水滴の上に静かに落とします。 (終わり)

演出術

子供の頃「ルーシー・ショー」というテレビドラマがあって大好きだった。アメリカのテレビコメディで、ルシール・ボールという女優が主演していた。家庭劇みたいなたわいのないコメディだった。 大人になって再放送を見て驚いた。ルーシーが相方の女優と話を…

山本弘遺作展の展評(7)

「山本弘遺作展」by匿名(M) 51歳で縊死した画家山本弘(1930〜81)の年譜をたどっていくと、その無頼の生きざまに胸ふたがれる重いがする。15歳で予科練に入隊後、2か月で終戦を迎え、もうそのころから死にとりつかれベルトで首をくくるが、その古いベルト…

トイレのプラン

意外に誰も言わないが最近作られる公共建築の男子トイレのプランが複雑になっている。入口から入って3回以上屈折しないと本丸にたどりつかない。なぜなのか? ただ単に外から見えにくくするだけなら、こんなに複雑にする必要がない。臭い対策とも思えない。…

昔から消極的だったので自分を鼓舞する諺を作った。 採らぬ柿は採れぬ。 するとすかさずプレイボーイの友人が言った。 採れぬ柿は採らぬ。

星秀雄の思い出

星秀雄は高校の同級生で最も親しい友人だった。高校在学中に鈴木に姓が変わった。 高校生の頃から映画が好きでシナリオライターになりたいと言っていた。われわれの高校は地域でも自由度が大きく、喫茶店に出入りができる唯一の高校だった。43年前にすでに週…

映像記憶

目の前の小さな交差点をゆっくりと左折していく車。私はその車を見るがゆっくりとはいえ車はすでに走り去っている。残像に集中して車のナンバーを読みとる。3-6-2-1と読むことができた。今回は直後だったので可能だったのだ。 映像をありありと記憶すること…

山本弘遺作展の展評(6)

「無頼画家・山本弘の死に急ぐ絵筆」by匿名 最初は16歳だった。以来、自殺を図ること6度。ベルトで首をくくり、猫イラズを飲み、ダムに飛び込む。青酸カリまで使った。しかしその度に生還。友人たちに「狂言」といわれると、その場で太股にナイフを突き立て…

活司命日

今日10月27日は久保田活司の20年目の祥月命日だ。活司は1歳下の高校の後輩。貧乏しながら小説を書いていた。小説現代の新人賞に応募していたが一度も入選しなかった。 文体が確立していたので、お前は大丈夫だよと言ったが、駄目だった。いわゆる戯作体の文…

山本弘に関するN先生からの私信

私の最も尊敬する画家N先生からいただいた手紙。 みゆき画廊から作品写真を預かって、私の手元に置いてから、もう大分たちました。 大兄の山本弘を思う気持ちは、たいへんに嬉しく思います。ひとりの人間の描いたものが、ただの一人でもいい、このように、心…

情報のわらしべ長者

上野の不忍通りあたりに警官が点々と並んでいることがある。 「どなたが通るのですか?」何人かの警官にこの質問をすると、一人くらい「は、陛下が」と答えてくれる。次の警官のところへ行って「陛下は何時頃通られるんですか?」と聞くと「3時頃です」と教…

「卒業」

大江健三郎の「キルプの軍団」に「卒業」と題する曲が掲載されている。作曲:大江光、作詞:光君の弟のオーちゃん、となっているけれど、エッセイかなにかで作詞は大江健三郎とのことだった。 詞がとてもいい。 1.今日で終わりということ 不思議な気がするね…

場所と記憶

上野の美術館へ行った時、秋葉原から山手線に乗り換えて上野駅で降りた。ホームから公園口の改札へエスカレーターを使って上った。エスカレーターに乗っている時不思議な幸福感に包まれた。いまどうしてここでこんな幸福感を感じるのか、そして分かった。 そ…

誤読

通勤電車の車内に貼られたポスター、そのキャッチコピーが、 「くりこ、さわらしてあげる」 何だ、これは? 「くりこして、さらにわけあえる DOCOMO」というのが正しい。ドコモのポスターだった。文字を読むとき、かたまりとして読んでそれを頭の中で組み立…