移転した「いりや画廊」の松田文平展を見る

 東京入谷のいりや画廊で松田文平展「バックボーンPart 1」が開かれている(7月13日まで)。松田文平は1959年富山県生まれ、1985年に武蔵野美術大学実技専修科油画専攻を修了し、1989年ミュンヘン造形美術大学を修了している(マイスターシューレ)。以後石彫刻を制作している。1990年より東京、茨城、富山、京都などで個展を開いている。

(マケット)



 いりや画廊は今回から新しいスペースに移転した。以前の場所から数分ほどの距離にあるが、新しいスペースは1階で矩形に近く、広くて天井高も3メートル以上ある。特筆すべきは搬入するための開口部がとても広く、大きな立体の搬入展示が容易なことだ。さらに2階にも小さいが展示スペースがある。

 松田の作品は大きな石彫作品が2点、ひとつは長さ6メートル余もあり、2トン以上だと言う。御影石が単純な形に彫り上げられているが、それが6メートルという大きさを持っていることがこの作品の特徴だろう。(黒御影石で作られたマケットも展示されている)。

 もう一つの大きな作品はやはり御影石を彫り上げたものだが、こちらはもう少し複雑な造形が施されている。

 個展のタイトルが「バックボーンPart 1」となっているが、来月からは「バックボーンPart 2」と題して、東京ガーデンテラス紀尾井町での個展が予定されている(8月23日―10月23日)。

 今回2階の小スペースでは陶器の展示が行なわれていた。

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松田文平展「バックボーンPart 1」

2024年7月1日(月)―7月13日(土)

11:30-19:00(土曜日17:30まで、最終日16:00まで)日曜休み

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いりや画廊

東京都台東区入谷2-13-8

電話03-6802-8122

http://www.galleryiriya.com

東京メトロ日比谷線入谷駅出口1と3より徒歩7分

 

ギャラリーQの奥山庸子展を見る

 東京銀座のギャラリーQで奥山庸子展が開かれている(7月7日まで)。奥山庸子は1985年青森県生まれ、2008年に日本大学芸術学部美術学科版画専攻を卒業している。2012年にギャラリー同潤会で、2019年と2022年にここギャラリーQで個展を行って、ギャラリーQでは3回目の個展となる。

 前回、奥山はちらしに次のように書いていた。

……漫画家は数百ものページを漫画で埋め尽くし1冊の本にしている。……私にとっては1コマ分描くのでも青息吐息で大変なのにと。……/だが、漫画本の1コマだけならばどうにかできそうだ。そうしてほぼ余白のマンガ本ができた。


 架空の漫画の1コマを作品にしている。

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奥山庸子展

2024年7月1日(月)―7月7日(土)

11:00-19:00(最終日17:00まで)

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ギャラリーQ

東京都中央区銀座1-14-12 楠本第17ビル3F

電話03-3535-2524

https://www.galleryq.info/

 

 

ギャラリー川船の「夏期入札展示会」を見る

 東京京橋のギャラリー川船で恒例の「夏期入札展示会」が始まった(7月6日まで)。

 入札の方式は「二枚札方式」、これは入札カードに希望価格の上値(上限)と下値(下限)の二つの価格を書いて入札するもの。他に入札者のない場合は下値で落札する。上値が同額の場合には下値の高い入札者が上値で落札する。上値と下値の間に他の入札者が入った場合には、上値の高い入札者が上値で落札する。上値、下値が同額の場合は抽選となる。

 落札価格に別途消費税がプラスされる。

 なお、最低価格が設定されているので、その価格から入札することになる。入札の最小単位は100円となっている。



 高額のものでは、いつもの長谷川利行が、130万円~、85万円~、40万円~、30万円~となっている。里見勝蔵が75万円~などとそれに続いている。山口長男が65万円~、斎藤真一が48万円~となっている。反対に安いものでは、佐藤照雄の鉛筆・パステル画が3千円~、道家珍彦の色紙が3千円~、田沼利規のモノタイプが3千円~、繭部雄作のシルクスクリーンが3千円~、ほかに水島哲雄の油彩が7千円~などとある。

 横尾忠則木版画が10万円~、浜田知明エッチングが30万円~、小山田二郎の油彩が15万円~、福沢一郎の油彩が7万5千円~となっている。

 何しろ全部で130点を超えている。まあ、これらは最低価格であって、必ずしもこの価格で落札できるとは限らないから。

詳しくは画廊のホームページに作品の写真と最低価格が掲載されている。

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「夏期入札展示会」

2024年7月1日(月)-7月6日(土)

11:00-18:00(最終日13:00まで)、7月6日13:45~開札

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ギャラリー川船

東京都中央区京橋3-3-4 フジビルB1F

電話03-3245-8600

http://www.kawafune.com

 

 

松本清張『美術ミステリ』を読む

 松本清張『美術ミステリ』(双葉文庫)を読む。清張の美術に関するミステリの短篇を集めている。「真贋の森」「青のある断層」「美の虚像」「与えられた生」の4篇。

 「真贋の森」はなるほど良く出来ている。浦上玉堂の贋作を作る話。古美術の学者と骨董屋、それに売れない絵描きがが組んで玉堂の贋作を作り、大々的に売り込む話だ。清張が骨董の世界に通じていることが良く分かる。

 「青のある断層」はスランプに陥った大家に近い画家に、素朴な画家の絵を参考にさせて復活させる話。いや、そんなに簡単にスランプを脱出できるだろうか。

 「美の虚像」は亡くなった西洋美術評論界のボスが、若い頃愛人のために金が必要で贋作に手を染めたという話。それで思い出すのが、ある画商(故人)が、某公立美術館に絵を納入しようとして、見積もりに館長へのリベートを計上しなかったためにその取引が破棄されたと語っていたこと。某美術館長も美術業界に影響力の大きな人だった。やはり愛人がいたのだろうか?

 「与えられた生」は主人公が画家というだけで、ミステリとはあまり関係ない。むしろ男と女の話で、そういうジャンルは清張には荷が重いという印象だった。清張をそれほど読んでいないが、恋愛ものとか、男女の愛の縺れなどはそんなに多くは書いていないのではないか。構成も心理描写もイマイチだと思う。

 まあ、「真贋の森」を読んだことで良しとしよう。

 

 

 

ギャラリー檜e・Fの丸山芳子展を見る

 東京京橋のギャラリー檜e・Fで丸山芳子展「雨の名前」が開かれている(7月6日まで)。丸山芳子は1957年福島県生まれ、1981年に創形美術学校造形科を卒業している。ギャラリー21+葉、なびす画廊、秋山画廊などで個展を繰り返し、2011年からは「精神の〈北〉へ」を主宰している。板橋区立美術館のグループ展や東京都美術館の都美セレクション展にも参加している。

 丸山芳子のテキストから、

現象としての雨は、

雨-地下水-湧き水-川-海-水蒸気-雲-雨…

と姿を変えながら、地球の表層と大気圏のあいだをダイナミックに循環する水だ。私たち生物は、その循環のただ中に存在し、その水によって生命を維持している。

雲から落ちてゆく水滴の視点で地表を俯瞰したらどんな光景がみえ、循環する水の様々な現象はどのような様子なのか? これらを想像するとき、水滴から聴こえるのは…

ワタシハ、ワタシダ…

 


 空から落ちてきた雨は地面を流れ、川から海へと下って行く。ギャラリーの床に敷かれた青い糸が水の流れを表している。流木のような物体や魚の骨などが設置されている。「雲から落ちてゆく水滴の視点で地表を俯瞰」した光景だと言う。

 隣室のギャラリーeにはドローイングが展示されている。

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丸山芳子展「雨の名前」

2024年6月24日(月)―7月6日(土)

11:30-19:00(最終日は17:00まで)日曜日休廊

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ギャラリー檜e・F

東京都中央区京橋3−9−2 宝国ビル4F

電話03−6228−6558

http://hinoki.main.jp